秋田・大仙市の大曲農業高校の生徒が、仙北市の玉川温泉の「湯の花」を使用して、ブルーベリーの土壌作りに取り組んでいる。コストを抑えた上で、よりおいしいブルーベリーを。地域の農業を広げる起爆剤となるかもしれない。
高騰する輸入材と同等の効果確認
大仙市の大曲農業高校では2023年度、仙北市の玉川温泉の硫黄成分を含んだ「湯の花」を使ってブルーベリーの土壌改良に取り組んでいる。

ブルーベリーの土壌は、カナダやヨーロッパなどから、コケなどが堆積してできた材料を輸入して作るのが主流だが、新型コロナウイルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻の影響で輸入材が高騰している。

そこで大曲農業高校の果樹部は、国産で代わりになるものを探した。目を付けたのが、低コストで手に入れることができる仙北市の玉川温泉の湯の花だ。

高校では、2022年度に湯の花を使って「カラスよけ」の研究をしていて、湯の花が身近だった。玉川温泉の源泉は強い酸性であることから、“酸性の土壌を好む”とされるブルーベリーの栽培に応用することにした。

6月に植えられた2本の苗は、輸入材を使用したものと湯の花を使用したものだ。土壌の性質を調べてみると、輸入材はPH4.89、湯の花はPH3.55となっている。

高校によると、PHが7より小さいと「酸性」に分類され、数字が小さいほど酸性の度合いが強くなる。こうしたことから、湯の花のほうがより強い酸性であることが分かる。

大曲農業高校・橋本晄さん(3年):
普通の土の場合、乾燥しても水を吸収するが、ピートモス(輸入材)の性質上、一度乾燥してしまうとなかなか水を吸収しにくいという性質がある。湯の花のほうの葉っぱは緑色。もう一方は水分が抜けてしまい、乾燥したので供給されなくなり、枯れてしまった

これまでの研究では、花や実の数、生育状況は良好で、輸入材を使用したときと変わらないことが確認できている。大曲農業高校は、収量の増加と食味の向上を目指して研究を続けることにしている。

大曲農業高校・橋本晄さん(3年):
地域に広がっていき、さらに農業に興味関心を持ってもらい、高齢化している農業が若者であふれ広がることを願っている

低コストでよりよい栽培を。ブルーベリーをさらに取り組みやすいものにするため、大曲農業高校の研究は続く。
(秋田テレビ)