フランス発祥のスポーツ・フェンシング。その世界で、来年のパリオリンピックで最も金メダルに近いと言われる“最強のフェンサー”が日本の江村美咲(24)だ。
江村は、7月に行われたフェンシング世界選手権で、日本フェンシング界初の2連覇を達成した。
この記事の画像(16枚)彼女が専門とするのは、「サーブル」という種目。他の「フルーレ」や「エペ」の攻撃スタイルが“突き”だけであるのに対し、サーブルには“斬り(カット)”の技が加わる。よりダイナミックで迫力のある攻撃の応酬がサーブル種目の見どころだ。
東京オリンピックの女子サーブル個人では2回戦敗退だった江村だが、現在の世界ランキングは堂々の1位。この数年で大きな成長を遂げている。江村のコメントにも自信がにじむ。
「東京オリンピックの時は現実的じゃなかったメダルが、今は現実的になって。(パリは)初めて本気でメダルを取りに行くオリンピックです」
そんな本気モードの彼女だが、ひとたび剣を置けば、買い物が好きなイマドキの24歳だ。
「お気に入りのアイテムとかが見つかると、次の休日で身につけたいから、オフを楽しみにまた(練習を)頑張ろうって思います」
オンとオフの切り替えも、アスリートにとって重要な要素だ。
強さの原動力は“家族の支え”
パリオリンピックを1年後に控え、充実の時を過ごす江村。その強さの原動力となっているのが、家族の存在だという。
「家族のみんなが一番のサポーターです」
実は江村家は、家族5人がフェンシング経験者というフェンシングファミリー。特に父の宏二さん(62)は選手として1988年のソウルオリンピック出場、そして2008年の北京オリンピックでは日本代表監督も務めた、日本フェンシング界のレジェンドだ。
そんな家族に集まってもらい、世界女王・江村の印象を聞くと、意外な答えが返ってきた。兄・将太郎さんは。
「意外と天然です」
弟の凌平さんもすぐさま。
「けっこう抜けているところもある」
“一番のサポーター”の率直な感想に、世界女王も苦笑いだ。
そして、父であり、フェンシングの大先輩でもある宏二さんは、江村のアスリートとしての資質を見抜いていた。
「美咲は走っても特別速いわけじゃない。何かでズバ抜けてはいないのですが、(小さい頃から見て)覚えているのは、どんなことでも『できるまでやる』こと」
この一言に江村も。
「私、負けず嫌いだよね」
しっかり自己分析していた。
“代表監督の娘”ゆえの葛藤も…
幼少期から家族と共にフェンシングの技を磨き続けてきた江村。ただ、偉大な父を持つがゆえの葛藤もあったと明かす。
「“江村さんの娘“だから優遇されている、特別扱いされていると周りから思われているな…、と感じる瞬間はありました」
父・宏二さんも当時を振り返る。
「“代表監督の娘”だと見られることがよくないし、あえて、距離をずっと取っていた、というのはありますね」
“一番のサポーター”でありながら、公の場では、あえて距離を取っていた家族。その気持ちに江村も当然気づいていた。
「私自身も“代表監督の娘”と思われたくないから、実力で結果を残そう、そう言われないように頑張ろうって思っていました」
持ち前の“負けず嫌い”の精神で周りの雑音を消し去り、父もなし得なかった“世界の頂点”にまで上り詰めた江村。
パリオリンピックは、家族、そして世界の人々の前で、他の誰でもない“フェンサー・江村美咲”を披露する大舞台だ。父・宏二さんは期待とともに胸の内をを明かしてくれた。
「(娘の試合を)タイムリーで見るほど体に悪いものはない。(パリには)かなり体力をつけて行かないとダメだなって思います(笑)」
そして最後に、江村は苦楽を共にした“一番のサポーター”にメッセージを送った。
「本番では、思いきり、迷いなく試合を楽しんで戦う姿を見てもらいたいなと思います」
『パリで、本気でメダルを取りに行く』
金メダルを勝ち取った江村美咲に、真っ先に駆け寄るのは、家族だ。
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