質問をすると、まるで会話しているように答えてくれる「チャットGPT」。便利な半面、子どもの使用に懸念の声も聞かれる。子どもたちの宿題など、どのように向き合えばいいのか。

急速に広まっている「チャットGPT」

アメリカの企業が開発した「チャットGPT」。

質問を入力すると、人工知能が自然な文章で瞬時に回答してくれる。

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2022年11月に公開され、世界の利用者数は1億人を突破。教育の場でも急速に広まっている。

大学生からは「大学の課題などで活用している。自分で調べなくても勝手に情報を出してくれるのが楽」という声も上がっている。

子どもの「チャットGPT」使用に、保護者からは慎重な声も。

「そればかりに頼ってしまうと考える力がなくなってしまうので、そういう場合は使わない」(保護者)

「ルールがしっかりとして、それをわかった上で使ってほしい」(保護者)

宿題やレポートの作成などで「チャットGPT」を使うケースも出てくるかもしれない。
どのように向き合えばいいのだろうか。

北海道帯広市のプログラミング教室で「チャットGPT」講座が開かれ、中学生とその保護者が参加した。

「自分が一歩先に進むための材料として使いたい」(講座の参加者・村田慎治さん(中2))

「存在しない架空の物語がすぐできるので、実際にやってみましょう」(プログラミング教室ロジラボ・山本彰さん)

「チャットGPT」に指示したのは、「ウサギとカメの物語」ならぬ「ウサギと“カモ”の物語」を作りなさいというもの。

あっという間に、ウサギとカモが同時にゴールし、友情を深めるという物語ができ上がった。

「人間に『作って』と言ったら難しいと思います。すごいですよね」(プログラミング教室ロジラボ・山本彰さん)

「チャットGPT」はインターネット上の記事や辞書、小説などの膨大な量の文章を取り込んでいる。

質問や指示を受けると関連する単語を選び、自然な文章が作れるよう学習している。

講師のひとり、山本愛優美さんは大学院生。プレゼン資料を作るときなどに活用していて、子どもたちにも人工知能の可能性を知ってほしいと考えている。

「何かを生み出すことの、心理的なハードルがすごく下がると感じる。いろいろな人たちがクリエーターになれる。そのような未来に近づくのではないかと思う」(プログラミング教室ロジラボ・山本愛優美さん)

「チャットGPT」を使ってプログラミングを行い、パズルゲームを作った子もいた。

「落ちてくるブロックが回転する部分に『チャットGPT』を使いました。何かを作るときに、手助けしてもらうものとして使っていきたい」(講座の参加者・関井一仁さん(中2))

このように非常に便利な半面、「チャットGPT」が苦手なこともわかってきた。

間違った情報が回答されることも

「北海道の音更町の歴史を説明して」と指示をしたところ、間違った情報が、あたかも正しい情報であるかのように回答された。

「『音更町には山や川、湖がある』と回答が返ってきたが、湖があるのか調べてみたらなかった」(講座の参加者・古川晴貴さん(中1))

「チャットGPT」は事実かどうかよりも、単語のインターネット上の出現頻度や相互関係を考慮して文章を作成することなどから、正確ではない回答をする可能性がある。

「ある程度の長い文章だと間違いはあり得るということ。それをわかった上で、作成するときは調べ直さないといけない」(プログラミング教室ロジラボ・山本彰さん)

「チャットGPT」ができることと、できないこと。その特性を理解しながら使うことが重要だ。

「情報が正しいかどうかわからないので、それを見極められて自分で検索して調べられる力があれば使ってもいいのではないか」(プログラミング教室ロジラボ・山本彰さん)

また、批判的思考や創造性を損なう危険性も指摘されている。

文部科学省は、小中高校向けに指針をまとめた。
夏休みの日記やコンクール応募作品に、自分が作成したかのように使うのは不正行為だとしている。

「今の子どもが5~10年後に大人になったときには使えるのが当たり前になっていると思うので、情報モラルや使い方を学んでほしいと思う」(プログラミング教室ロジラボ・山本彰さん)

まだ過渡期にある「チャットGPT」など、人工知能の教育現場での活用。解決しなければならない課題は少なくない。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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