連日厳しい暑さが続き、涼を求め水遊びができる河原に集まる大勢の観光客たち。そんな仙台市のとある人気スポットで、観光たちの「ある行為」が、地域住民たちの頭を悩ましているという。

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家族連れでにぎわう「人気」水遊びスポット

仙台市西部、山形県との県境にほど近い太白区秋保地区。東北随一の温泉街として知られているほか、日本の滝百選にも数えられる「秋保大滝」を有するなど、観光資源に恵まれた宮城きっての人気観光スポットだ。

幅6m落差55mを誇る「秋保大滝」 
幅6m落差55mを誇る「秋保大滝」 

そんな、秋保を流れる名取川にかかる羽山橋近くにある河原は、数年前からSNSなどで話題となり、多くの人が訪れる人気の水遊びスポットとなっている。

地域住民によると、平日でも50人~100人程度の人が訪れることも珍しくなく、休日にはその数が倍増することも。この日も平日にもかかわらず、多くの家族連れでにぎわっていた。

平日にもかかわらず 多くの家族連れの姿が…
平日にもかかわらず 多くの家族連れの姿が…

仙台から家族で来たという男性は「川遊びできる場所をインターネットで探して来た。夏休みということで、自然がある場所に子供たちを連れてきたいと思って来た」などと話す。
現場は仙台市中心部から車で40分ほどの場所。気軽に来れる距離ということも人気となった理由なのだろう。

 
 

人気スポットに異変

そんな宮城の夏の人気スポットで今、観光客たちによるある行為が問題になっている。その問題は一帯を見回すだけで一目瞭然だった。

河原を少し歩いただけで見えてきたのは、散乱するごみ。ペットボトルに紙くず。使用済みの炭なども放置されている。

河原には使用済みの炭が…
河原には使用済みの炭が…

地域住民たちに話を聞くと、2カ月に一度ほど清掃活動をしているが、回収しても、すぐごみが捨てられてしまうのだという。住民の女性は「遊びに来るのは自由だが、ごみ処理などのマナーをもう少し何とかしてほしい」とカメラに訴えた。思いは切実だ。

河原に散乱するごみ
河原に散乱するごみ

後を絶たない路上駐車

住民たちを悩ませるのは、これだけではない。取材班が河原近くの道路に行ってみると、道路に赤いコーンがずらりと並んでいる。2メートル間隔で並べられたコーンは、およそ500メートルにわたって置かれていた。その数はおよそ250個にも及ぶ。

河原近くの道路に並べられた赤いコーン
河原近くの道路に並べられた赤いコーン

これは、路上駐車によって、緊急車両が通行できないケースがあったことから、仙台市が7月上旬に設置したものだ。コーンの脇には、駐車禁止を呼び掛ける看板も100枚ほど設置されているが、路上駐車する人は後を絶たないのだという。

相次ぐ路上駐車で緊急車両が通行できなかったことも
相次ぐ路上駐車で緊急車両が通行できなかったことも

原因は駐車場の不足。河原のそばに駐車場はあるものの、止められるのはわずか15台ほど。数年で訪れる人が急激に増えた結果、駐車場が足りなくなり、入ることができなかった車が、河原に続く道路に路上駐車せざるを得ない状況になっているというワケだ。

実際に路上駐車したドライバーに事情を聴くと、「駐車場が足りない」「交通機関がなく、小さい子供を連れてこようとすると車しかない」といった声が聞かれた。

この日も駐車場に入れず路上駐車する車が多く見られた
この日も駐車場に入れず路上駐車する車が多く見られた

取り締まりの限界…求められる利用者のマナー

現状を、仙台市はどう捉えているのか。仙台市を取材すると、スペースの確保は検討したものの、周辺に私有地がなく、断念したのだという。

注意喚起の看板とカラーコーンの設置が、私たちができる最大限の対応です。ごみは持ち帰っていただくのと、交通マナーを守って節度ある時間でお楽しみいただきたい
(仙台市秋保総合支所総務課 佐伯朋和 地域生活係長)

仙台市秋保総合支所総務課 佐伯朋和 地域生活係長
仙台市秋保総合支所総務課 佐伯朋和 地域生活係長

仙台市は現在、混雑が予想される休日に誘導員を配置するなど対策に乗り出しているが、対応には限界がある。SNSなどで人気に火が付いた水遊びスポット。私たち利用者のモラルが問われている。

(仙台放送)

仙台放送
仙台放送

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