自民党の石破茂元幹事長は30日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に出演し、保険金不正請求問題が指摘されている中古車販売大手「ビッグモーター」の対応を厳しく批判し、法律改正にも言及した。

石破氏はビッグモーターについて「お客さま本位でない。犯罪の限りを尽くしたようなところがある」と述べた。

番組では、コメンテーターの橋下徹元大阪府知事(弁護士)が再発防止策として「大手の車の販売会社は損害保険の代理店として認めない法律を作るしかない」と提案。

石破氏は「その法律ができるかどうか、今後きちんと議論して早めに今度の国会でも法改正ができるようにしていかなければいけない」と応じた。一方で、「消費者にとって便利な(今の)仕組みをどうやって改革していくか。それも非常に重要な視点だ」と強調した。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
石破さんに聞く。ビッグモーターに関しさまざまな問題が出ている。どういう行政処分が行われるかも焦点だ。どこに一番問題があると考えているか。

石破茂氏(自民党元幹事長):
それはお客さま本意でないということだ。自動車は人の命に関わるもの。その整備点検、販売は最も高い倫理観がなければいけない。社長が来るから除草剤で木を枯らそうとか、めちゃくちゃな話だ。詐欺であり、器物損壊でありみたいな犯罪の限りを尽くしたようなところがあり、そこにお客さまのためにという発想はほとんどない。

松山キャスター:
国交省が道路運送車両法上の違反があったかどうか調べるため立ち入り調査した。もともと依頼されてない点検や整備を行ってはいけないと定められているが、損害保険会社とビッグモーターのような中古車販売業者との密接な関係というのも浮き彫りになっている。損害保険会社と車の販売会社との適切な関係はどうあるべきか。どこに問題があったのか。

石破氏:
これは持ちつ持たれつのところがある。事故が起こった、損害保険会社がすぐ来る、ビッグモーターを紹介する。紹介してくれたら自賠責(を割り当てる)と。こんな話でそもそも相互依存関係にある。いったい修理はいくらするのかが消費者にはわからない。昔と違って、いま自動車の仕組みは素人にはわからなくなっている。だいたい14万円がノルマだとかいう話だが、そんなにかかるのかと。定価表みたいなものがない。何にいくらかかったのかが顧客にきちんとわかるような仕組みを作っていかなければいけない。これはこの業界だけではない。消費者が情報を知らないので、言われたままの金を払ってしまう。そういう情報の非対称性みたいなところに最大の問題がある。そもそも保険というのは一歩間違えるとモラルハザード(を起こす)。どうせ誰も損しないんだし、というような形になる危険性がある。保険はそういうものであって、きちんとした倫理性と、消費者に対するきちんとした情報提供、そういうことをやっていかないと(保険金の不正請求は)なくならないと思っている。

松山キャスター:
石破さん、経営責任も含めて行政側、監督官庁などができることには限界があるのではないかという見方がある。

石破氏:
限界があるのだったら行政は役に立たない。道路運送車両法のどこの部分に該当するのか、器物損壊は親告罪で時効もあるので結構難しいが、きちんと法にのっとってやっていくということだ。市場が淘汰(とうた)するまで待つほかないなどと言っていたら、政府とは何か、行政とは何か、法治国家とは何なのか。消費者庁は消費者庁として内部通報制度がなぜ機能しなかったのかをきちんと明らかにしなければならない。金融庁は金融庁で保険会社に対しても、ビッグモーターに対しても保険業法のどこに違反していたのかを徹底的にやっていかなければならない。それぞれの省庁がそういうことをきちんとやっていくことで消費者が保護されるということを確立していかなければいけない。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
今回の問題はビッグモーターだけの問題ではない。こういう案件を全部チェックしたら、恐らく何万件ベースになる。販売会社は保険会社に利益を与えてくれる。利益を与えてくれるところに保険会社が厳しく行けるわけはない。政治的な話になるが、大きな力を持っている車の販売会社を保険代理店にさせない。そういう仕組みからやっていかないと。あくまでも保険会社は、車の販売会社に厳しい視点だけで行く。そういう仕組みにしないと。利益を与えてくれるところに厳しく行くのは無理だ。世の中では利益相反関係をなくそう、分離して行くというのはいろんなところでやっている。もし本気でやるのなら、こういう大きな車の販売会社はもう保険代理店としては認めないという法律を作るしかない。

石破氏:
その法律ができるかどうかは今後きちんと議論して、早めに今度の国会でも法改正ができるようにしていかなければいけない。だけど、利用者の側にしてみると、事故を起こした、保険会社がすぐ行く、そこから修理業者を紹介してもらうと。この消費者にとってそれなりに便利な仕組みをどう改革していくか。それも非常に重大な視点だ。

日曜報道THE PRIME
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今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
フジテレビ報道局が制作する日曜朝のニュース番組。毎週・日曜日あさ7時30分より放送中。今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論。