秋田県内を襲った記録的な大雨から2週間。道路の通行止めが解除されたり、断水が解消されたり、少しずつ復旧が進んでいるものの、被害は大きく、住民がこれまでの生活を取り戻すにはいくつもの壁が立ちはだかっている。
約2メートル50センチまで浸水した所も
今回の大雨で深刻な浸水被害を受けた、秋田市楢山大元町。

この地域は、氾濫のあった太平川のすぐ目の前に位置している。

町内の至る所に災害廃棄物が山のように積み上げられていて、回収が追い付いていない。

この地域では、多くの住宅が1階の天井付近まで水に漬かり、中には約2メートル50センチまで浸水した所もある。
住民は「7月15日の夜は、町内全体が水没して帰宅できず、17日にようやく自宅に帰ると、変わり果てた姿にがくぜんとした」と話していた。

この地域の町内会長・伊藤達男さんに話を聞いた。伊藤さんの家は1メートル70センチほどの高さまで水に漬かった。家の中は大変な状態になっている。

楢山町内会・伊藤達男会長:
15日の夜、居間に置いてあった冷蔵庫が水に浮かんで泳いでいる状態で大変だった。長く町内会長をやっているので、この町からは逃げられないと思い、自宅の2階で待機していた

伊藤さんの家の目の前を太平川が流れているが、水は川からあふれてきたのだろうか。
楢山町内会・伊藤達男会長:
住民は、太平川の水が土手を越えて流れてくるのではないかと思っていたが、川の反対方向から水が押し寄せたのが現実。想定外も想定外。誰も信じられない状況だった

複数の住民からは「洪水の危険性があるため、川の流れを変える県の工事が行われていて、その場所から水があふれてきた」という声が聞かれた。

近くに住む人が撮影した映像には、工事現場付近から水が勢いよく流れ出し、周囲の道路をのみ込んでいく様子が映されていた。

県に問い合わせたところ、「ここから水があふれたことは承知している。大雨による増水に備え、土のうを積んで対策をしたが追い付かなかった」と回答があった。
いま求めるのは“支援制度の情報”
大雨から2週間がたち、住民がいま、行政に求めることは何だろうか。

楢山町内会・伊藤達男会長:
これから生活が大変になるので、県や市の補助金や見舞金、様々な支援制度をいち早く住民に伝えてほしいというのが一番の願い
日常が一変した大雨から2週間。普段の生活を取り戻すために乗り越えるべき壁は数多く残されている。
(秋田テレビ)