石川県金沢市に、50年続く洋菓子店がる。その名も「ノルマン」店主手作り、絶品ケーキのバイキングが有名な店で何度もメディアに取り上げられてきた。しかし2023年5月、隣接する店が火事となり、延焼で一時閉店を余儀なくされていた。そのノルマンがこのほど、リニューアルオープン。再出発にかける家族の思いを取材した。
4世代に愛される「町のケーキ屋さん」
11月23日のオープン日。開店する午前10時前にはすでに30人以上が行列を作っていた。
この行列を前に店主の誠一さんは…
中村誠一さん：
あと5分少々、お待ちいただくんですが、これからますます頑張っていきますんで、皆さんよろしくお願い致します。
並んでいたお客さんも拍手でお祝いしていた。
そして午前10時すぎ、ノルマンがリニューアルオープンした。
西金沢で50年以上に渡り愛されてきたノルマンが半年ぶりに開店した。並んでいたお客さんは、次から次へと誠一さん手作りのケーキを注文していた。
お客さん：
小さい時から、子供の時からノルマンのケーキを食べているんで、ここのケーキ懐かしいし、おばちゃんの顔を見られて良かったです。
中には、ひ孫のためにケーキを買いに来たという人も…
お客さん：
ありがたいね、近いところに住んでいるんで。お客さんが急に来たときには、ノルマンを頼りに走ってきますんで。勤労感謝の日できょうひ孫が家に来ると言うので、ちょうど良いタイミングだと思ってきました。
もちろん、小さな子供連れにも大人気だ。
お母さん：
いつも会社に行く通り道なので、いつできるかなと心待ちにしていました。
オープン日は人気すぎて翌日は臨時休業
結局、この日は、お店に人が途切れる事なく、ケーキは完売。翌日24日の分まで売れてしまったため、24日は急きょ、臨時休業するほどだった。
24日の午後6時に店をのぞいてみると、家族総出で、25日の営業に向けた仕込みの準備に追われていた。
オープン日の様子について、3代目の中村一貴さんに聞いてみると…。
3代目 中村一貴さん：
昔からノルマンのケーキを買われる方は、ケーキと言えば「ノルマン」と言う人が多くて、愛されているんだなと実感しました。
そんなノルマンのケーキ。初日はシュークリームやイチゴのショートケーキなど11種類が用意されていた。当初の予定では、もう少し多い種類を用意するつもりだったそうだ。
中村一貴さん：
18日と19日にプレオープンをしたのですが、その時に、想定より多く売れてしまったので、オープン日の23日分の材料がなくなってしまって…。
中でも人気だったのが、この秋、絶対食べたい「和栗のモンブラン」だ。
中村一貴さん：
バックヤードから出した瞬間に、売れていました。モンブランが、人気ですね。
火事からの再出発…ケーキバイキングは断念
実はノルマンと言えば、美味しいケーキをおなかいっぱい食べられる『ケーキバイキング』が有名だった。しかし今年5月、隣接する店の火事の延焼によって、洋菓子店だけでなく、隣の喫茶店も水がついてしまい、再オープンを断念したそうだ。
中村一貴さん：
火事の影響で、みんなでどうしようかって話し合ったんですが、ケーキ一本でまずは頑張ろうという事で、喫茶店は止める決意をしました。
火事の影響で、水やススがつき、臭いもひどかったことから、一時は移転も考えたそうだ。それでも西金沢という場所にこだわったのは、西金沢の商店街のみんなが募金活動をしてくれたからだ。
中村一貴さん：
みんなが自主的に募金活動を始めてくれて、みんなに愛されているんだなと感じて、同じ場所で再開することを決めました。
そんなノルマン。リニューアルオープンにあわせて新商品を開発したという。それが「にゃどれーぬ」だ。
今回の火災。寝室にいた一貴さんのおばあちゃんは、なんとか助け出されたが、飼っていた2匹のネコは助け出すことができなかった。そんな家族を守ってくれた2匹に対する家族の思いを形にしようと、創業当時から人気のマドレーヌをアレンジして「にゃどれーぬ」にしたという。
ちなみに「にゃどれーぬ」と言う名前は、再建に向けて手伝ってくれている、3つ子の弟の彼女がつけてくれたそうだ。
向山侑希アナウンサー：
しっとりとした生地に、ほんのりとした甘さがあって、美味しいです。この商品と共に、皆さんの思いも広まっていくと良いですね。
洋菓子店「ノルマン」。不定休のため、営業日はインスタグラムなどで確認してほしいとのことだ。今後の店作りについて、3代目に聞いてみた。
中村一貴さん：
50年続いた店が100年続くように、西金沢を代表するお店になれるよう頑張っていきたいと思っています。
地域のみんなの思い、そして、家族の思いと共に、町のケーキ屋さん「ノルマン」はこれからも愛される店であり続けるだろう。
（石川テレビ）
