旬、真っ盛りの「モモ」が今、おいしい季節を迎えている。
特定のカルチャーをより深く味わう「沼から来た。」。
今回はモモの沼にハマった専門家が、その底知れない魅力を紹介する。
一度は味わってほしい、全国各地のこだわりのモモや、予約が殺到する話題のモモスイーツ、見ればすぐ分かる、おいしい桃の選び方・食べ方を取り上げる。
あなたも“モモ沼”にハマってみませんか?
“毎日果物が欠かせない”青果バイヤー注目のモモ
オススメのモモを紹介してくれる“モモ沼の住人”は、豊洲市場ドットコム青果バイヤーの八尾昌輝さん。
毎年、全国のモモを品種ごとに味わうのが恒例だという。
この記事の画像(18枚)栽培だけで全国に約100品種あるというモモの中から、今の時期のオススメ品種を紹介してもらった。
【その1】美しい白色のモモ
美しい白色となめらかな食感が特徴だという岡山県のモモ。
中でも八尾さんのオススメは「おかやま夢白桃 ロイヤル等級」。
他地域だと通常モモは袋をかけて栽培し、途中で外して日光に当て赤くする。
しかし、岡山の白桃は最後まで袋がけをしたまま栽培するため白いモモが実現する。
日光を防ぐことで水分の蒸散を防ぐことができ、果肉がなめらかで繊維質が少ないモモになるため、上品な甘さになるという。
“沼”にハマったきっかけのモモ
【その2】高い木で育てるモモ
収穫量トップのモモの名産地、山梨県。実が大きく、ジューシーなモモが特徴だ。
「フルーツファーム雨宮」の「てっぺんの桃 極み」は、八尾さんが“モモ沼”にハマったきっかけだという。
その糖度は16度以上あり、口に入れた瞬間、その甘さにビックリするほどだそう。
栄養たっぷりの土壌に木をあえて上に伸ばし、なるべく木の高いところでモモを作っている。
手間はかかるがその分、糖度がのって味がおいしいモモができるという。
「てっぺんの桃 極み」は、40年以上かけて土作りを行うなど、まさに匠の技で作られたモモとも言える。
自分好みのモモの選び方
品種によって味わいやかたさが異なるモモ。
産地ごとに特徴があるため、スーパーで買う際、品種が書いてなくても産地を見て、自分好みのモモを選ぶことができるという。
「比較的、山形のモモは食感が“かたい”ものが多く、山梨なら“大玉”でジューシーなど、ある程度は産地ごとの個性があるので、自分好みのモモを探してほしいです」(豊洲市場ドットコム青果バイヤーの八尾昌輝さん)
青果バイヤー厳選!全国の“ご当地モモ”
続いては、八尾さんがピックアップした、全国の“ご当地モモ”を紹介していく。
【その1】孫悟空が食べたモモ「蟠桃」
局地的に作られている「蟠桃(ばんとう)」。
平たくていびつな形の見た目が特徴のこのモモは、『西遊記』で孫悟空が食べた“不老不死の桃”として描かれた品種でもあるという。
そのため、「蟠桃(ばんとう)」は非常に貴重なモモなのだそう。
「味が特別な味わいとなっていて、酸味がある独特で不思議な風味に密かなファンが多いです」(豊洲市場ドットコム青果バイヤーの八尾昌輝さん)
【その2】トロピカルフルーツのようなモモ
収穫量第2位の福島県のモモはやや小ぶりで、しっかりめの食感が特徴だ。
中でも八尾さんがオススメなのが、黄色が特徴の「黄金桃」。
「トロピカルフルーツのような味わいで、人によってはマンゴーみたいとおっしゃる方もいます。缶詰ではない生の黄桃はなかなか出回らない。福島県産の黄色いモモは、これからが旬なので、見つけたら食べてほしいと思う一品です」(豊洲市場ドットコム青果バイヤーの八尾昌輝さん)
【その3】世界一を目指すモモ
福島の古山果樹園で作られる「神秀(かみしゅう)」。
このモモは1玉、10万8000円もするという。
震災を機に「福島のモモがすごいことを伝えたい」という思いで、生産者の古山さんが福島から世界一のモモを目指して作っている。
普通のモモの糖度は12~13度だが、「神秀」の糖度は驚異の23度以上もあり、超高糖度を実現させた。
時間とお金と手間をかけてやっと1玉できる超貴重なモモ「神秀」。
八尾さんは「まさにモモ農家の夢がつまった値段です」と推した。
続いては、スーパーでモモを選ぶコツを伝授。
モモを選ぶ時は「皮」を見る
モモを選ぶ際、注目したいのが「皮」だと八尾さんは言う。
モモの皮の表にある白い斑点。これは「果点」といわれる、おいしいモモのサインとのこと。
この白い斑点は糖度が上がって皮に亀裂が入ることでできる。そのため「果点」が多いものがオススメだという。
八尾さんは「見た目が悪いかなと思われる方もいるかもしれないですが、この白い斑点は甘さがのってきた証拠になるんです」と“おいしいモモ”の見分け方を教えてくれた。
最後は、旬の今しか味わえない、予約殺到のモモスイーツを紹介する。
話題のモモスイーツ3選
東京・表参道にあるカフェ「LOTUS(ロータス)」。
このカフェでは、来月末までの限定スイーツとして「まるごとピーチ」(1320円)を販売している。
モモの中には自家製カスタードとイチゴが入っていて、1日200個売れたこともあるという大人気スイーツだ。
このスイーツの提供はカフェタイムの15時から(ランチを注文した場合は午前11時から)とのこと。
2つ目は、東京・高田馬場にある「Re:s cafebar&sweets リスカフェ」のモモスイーツ「桃のミルフィーユ」(1600円)(ワンドリンク制、ドリンクセット+300円)。
サクサクのミルフィーユに、甘酸っぱいソースなどが入ったモモを乗せた「桃のミルフィーユ」が評判だ。
今シーズンの予約販売は終了しているため、このスイーツを食べるためには当日先着順となる。
そして、八尾さんがオススメする“モモスイーツ”が、神奈川県大和市にあるパティスリー「MAISON GIVRÉE(メゾンジブレー)」。
海外のコンテストで優勝経験のある江森宏之シェフが作るアイスケーキ「岡山県産 清水白桃のメルバ」(6880円)だ。
上質な清水白桃をたっぷり使ったモモのソルベの中には、木イチゴのソルベとバニラアイスが2層になっている。
「岡山県産の上質な清水白桃をたっぷり使用しているので、モモの香りが強く、木イチゴの酸味がしっかり味を整えてくれます」(豊洲市場ドットコム青果バイヤーの八尾昌輝さん)
まだまだ底が知れない“モモ沼”。
今後もどんな新しいモモが出てくるのか、目が離せない。