プロ野球が後半戦に突入した7月22日。首位・阪神タイガースとの試合で17号本塁打を放ち、巻き返しへ最高のスタートを切ったヤクルトの主砲・村上宗隆(23)。
しかし、19日と20日に行われたオールスターに村上の姿はなかった。三冠王が翌年、まさかのオールスター落選。村上に一体、何が起きていたのか?

カメラの前で初めて明かした不調の真相。
「何が正解かわからなくなっちゃったというか」
「去年やってきたことが全て無くなったような」
三冠王の苦悩と決意を独占取材したーー。
56本塁打・史上最年少三冠王…野球界の主役だった昨季
昨季、村上はまさに野球界の主役だった。王貞治さんの記録を塗り替える日本選手最多56本のホームランに、史上最年少での三冠王。いつしか「村神様」と呼ばれるようになると、12月の新語・流行語大賞にも選ばれ、ムーブメントは2022年を象徴する存在になった。

さらに年が明けると、日本中が歓喜に沸いたWBCでも活躍。準決勝で逆転サヨナラ打、決勝で同点本塁打と常に話題の中心にいた。
そんな中、かつてない注目度で迎えた今季。そこにあったのは、極度の不振にあえぐ三冠王の姿だった。
結果が出なかった前半戦「目標が遠くなっていく…」
好機で打てないと、ヒーローは一転、時に戦犯扱いもされた。

ーー結果が出なかった前半戦、率直にどんな感情でしたか?
3連覇を目標に、もう一回三冠王を取るというのを目標にしたシーズンでした。
それが少しずつ崩れて行くような、その目標が遠くなっていくような…。
久しぶりに、打てない自分の情けなさだったり、去年やってきたことが全て無くなったような気持ちでした。
ーー全てなくなった気持ちとは?
もちろん叩かれたりもしますし、いろんな声も聞こえますし、僕に期待をしてくれて応援してくださっているファンの方々の気持ちだと思うんですけど、打つのが当たり前だと思って見られている立場なので、その期待に応えられなかった自分は情けないと。
”築き上げてきたもの”が、崩れ去っていく感覚。「村神様」とまで呼ばれた男に一体何があったのか?その不振の理由を、初めてカメラの前で明かしてくれた。

ーー打てないと感じていたときの原因は?
僕はバットを振るより、トレーニングをして体を作ってバッティングに生かす、というやり方をやっていたのですが、WBCで大谷翔平さんや吉田正尚さん、ダルビッシュさんなど、色々な方のトレーニングを見て、僕はこうやった方が良いのかな、もうちょっとこうした方が良いのかなって。その中で色々なところに手を出していくうちに、何が正解か分からなくなってしまった。

大谷翔平に、吉田正尚、そしてダルビッシュ有。世界のトッププレイヤーに感化され、シーズン直前に取り入れた新たなトレーニング。しかしそれは、さらなる高みを目指したが故のよもやの代償だった。

「前半戦の調子が悪い時は、どうしても人に頼りたかったり、『頼む打ってくれよ』と思ったり、チームメートにも『ここで打ってほしい』と思っていました。WBCでは、僕一人の力だけでは勝てないですし、周りにすごい選手がいて、色々な方がカバーしてくれて、そこ(WBC)での気持ちがそのままシーズンに乗り移ってしまった」と村上は語る。
負のスパイラルでもがき苦しむ中、村上はある決断をする。
(新しいトレーニングを)続けたらどうなるかなっていうのもあるんですけど、今は自分がしていたトレーニングに戻して、自分の体の使い方を取り戻すということに僕の中ではなりました。
ーーどのあたりから戻すことに?
4月が全然ダメだったので、5月の半ばくらいからちょっとずつ戻していって、今は完全に元のトレーニングになっています。
立ち返ったのは、まばゆい輝きを放っていた去年の自分。

ーー去年はどんな気持ちでバッターボックスに立っていましたか?
去年は「俺が打つから良いでしょ」くらいの気持ちだった。そういう気持ちが足りなかったっていう部分もありますし、もっともっと自分が引っ張って、チームを勝たせるっていう強い気持ちを持ってやるべきだなと改めて思っています。
自分が打ってチームを勝利に導くという主砲としての”原点”。前半戦最後の5試合で4本塁打、10打点、打率.391をマークした。
心技体、その全てで原点に立ち返った村上。意を決した”神様”は、もう誰にも止められない。
「前を向いてやっていこうという気持ちになっていますし、もう一度、打ちまくれるように頑張りたいと思います」
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7月29日(土)24時35分から
7月30日(日)23時15分から
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