自動車保険の保険金を不正に請求していた問題が発覚した、中古車販売大手の「ビッグモーター」。
社長のワンマン体制が一連の不正請求に影響を及ぼしていたのだろうか?

この記事の画像(10枚)

FNNは、“社長の意図は絶対”ともとれるような方針が掲げられた、ビッグモーターの「経営計画書」を入手した。

「誠実」掲げる裏で…故意にパンク・車内の損傷など

以前、仕事での信念について問われた際、社長の兼重宏行氏は次のように答えていた。

ビッグモーター・兼重宏行社長:
誠実ということですね。仕事をやっていく中で、お客さんにとって何が一番最高、最善かなと。
我々目線でなくて、結果的にはお客さんに喜んでいただこうと。

しかし、一連の問題をめぐっては、「誠実」という言葉とはほど遠い会社の姿勢が垣間見えている。

ゴルフボールを入れた靴下で車体を傷つけるほか、ドライバーを使ってタイヤを故意にパンクさせたり、車体を蹴って車の内部を損傷させたりするなどの行為があったというビッグモーター。

21日、ビッグモーターを監督する立場の斉藤国交相は、早期にヒアリングを実施すると表明。さらに怒りをあらわにしたのは、保険料を監督する鈴木金融相だ。

鈴木金融相:
本当にこんなことがあるのかと我が目を疑うような状況で、事実であればこれは許されないことである。

怒りと不信の声が高まる中、ビッグモーター側は、問題発覚から現在に至るまで、兼重社長ら経営陣による公の場での説明を行っていない。

自らの言葉で、いつ説明するのか。
「イット!」は21日、都心の一等地に居を構える兼重社長の自宅に向かったが、インターホンの呼びかけに応答はなかった。

近所の人は最近、兼重社長の姿が見えなくなったと話している。

近隣住民:
ここ1週間近くは出入りされていないと思います。お掃除もされていないので。
業者の方が週に2~3回は(掃除を)されていたと思います。1週間も掃除されないということはなかったと思います。

求める人材は…「元気があれば何でもできる」

1代でビッグモーターを従業員6000人の企業に育て上げた兼重社長。過去に、自身が目指す会社の形を次のように語っていた。

ビッグモーター・兼重宏行社長:
1兆円の売り上げを上げようじゃないかと。ビッグモーターがあれば、お客さまの車のニーズに関する全てを賄えるよと。
我々は車に関する全てのビジネスをやっているものですから、仕事が作れるんですね。

さらに、求める従業員像については…

ビッグモーター・兼重宏行社長:
真面目な人ですね、単純に。真面目な人だと色々工夫しますよね。
真面目で主体性があれば何でもできると。元気があれば何でもできるというような感じで考えています。

FNNは21日、ビッグモーターの元社員に話を聞くことができた。

――社長は会社にとってどんな存在?

ビッグモーターの元従業員:
神様のような存在だったのかなと思います。本当に、社長が言ったことには誰もNOとは言えないような。社長がこれをやろうと言ったら、会社全体が方向転換するところがあった。

“社長の意図は絶対”思わせる計画書を入手

さらに明らかになったのは、「社外秘」と記されたビッグモーターの経営計画書だ。

社長の意図が素早く実行されるフラットな組織にする。

会社と社長の思想は受け入れないが仕事の能力はある。
今、すぐ辞めてください。

また、この計画書には、社内恋愛に関する細かい規定まで記されていた。

社内不倫を見つけたら、公表、異動、減給、降格する。二度目は転職を勧告する。
社内恋愛は、二度目まで!三度目は転職を勧告する。

この経営計画書について、別の元社員は…

ビッグモーターの元従業員:
これ毎朝読んでいたので。逆に僕らが日常で指示されていることからしてみれば、まだ優しく言ってもらっている印象です。(文面が)外に出たらまずくなるので。

急成長を遂げてきた裏で、様々な問題を抱えていたとみられるビッグモーター。
兼重社長は21日午後、FNNに文面でコメントを寄せた。

ビッグモーター・兼重宏行社長:
経営責任は組織風土改革をはじめとする再発防止策を通じた社会からの信頼回復を果たすことと考えております。

社長自身による会見はまだ予定されていない。

(「イット!」7月21日放送分より)