アメリカの大手アップルが、対話型AIを開発中だと報じられた。

19日、アメリカのブルームバーグ通信は、アップルが対話型AIを開発中だと報じた。

一部の技術者は「Apple GPT」と呼び、現在テストが行われているという。

提供時期はまだ決まっていないということだが、対話型のAI分野にアップルが参入した場合、開発競争と覇権争いはさらに激化することになる。

一方で、5月にティム・クックCEOはAI分野について、「慎重に思慮深く取り組むことが非常に重要」と語っていて、慎重な姿勢を示していた。
激化を見せる対話型AIの開発競争
「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しいIoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。
堤 礼実 キャスター:
やはりアップルもなのか、そんな風に思う方も多いかもしれませんね。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
まず、マイクロソフトが出資しているオープンAI社がチャットGPTを発表して、一躍世界に注目されました。
そこにグーグルやメタが続き、さらに、アマゾンも水面下で準備しているといわれています。
今回のアップルは、投資家向けという意味を含めて、競争に参加する構えを見せたということではないか。
堤 礼実 キャスター:
小泉さんが思う、この分野で勝ち抜く決め手は。
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
まず、一般的に、学習データが多いほうがAIの精度は高くなります。現在、世界中のSNSやネット上のデータを使ったチャットGPTが先行していています。
しかし、規制や個人情報保護などの観点から、こういったデータを使った学習が、やりずらい状況になってきています。
また、いろんなパターンでの利用結果から、AIをチューニングする必要があるのですが、後発企業は、チャットGPTより精度が悪いことが許されない状況です。
そうなると、精度の優劣ではなく、AIの「使いどころ」をどこに置くかということが、実は重要だと思います。
アップルならではの安全・利便に期待
堤 礼実 キャスター:
その使いどころとは、具体的にはどういうことでしょうか。
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
利用シーンや、誰が使うかで、戦う土俵が変わってくるということです。
例えば、チャットGPTは一般のユーザーを対象にしているので、グーグルとガチンコで競合していくでしょう。
一方、マイクロソフトは、自社のクラウドサービスでの法人利用も想定していて、例えば企業がレポートを作ったり、業務を平易な言葉で指示すると、人の代わりにやってくれる、といった使い方をイメージしています。
さらに、メタは自社のSNSを中心に、使いどころを見つけるでしょう。
堤 礼実 キャスター:
アップルの場合は、いかがですか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
セキュリティ面などを重要視するアップルは、現状の対話型AIが持つ問題に対して慎重なはずです。
もし、Siriが情報検索させるシーンで対話型AIを使えるようになるとしたら、次のようになります。
まず、「近くのレストランを教えて」と言えば、レストランの候補を挙げてくれます。
さらに、「今ネットで予約できるところを教えて」というと、現状では「予約サイトの候補」を上げてきますが、対話型になることで「近くのレストランの中で、今ネットで予約できるお店を絞り込んでくれます。
個人的には、アップルならではの、使い勝手の良い対話型AIが生まれてくるといいなと思います。
堤 礼実 キャスター:
AIに関する様々な懸念点も挙げられる中、求められるのは、安心して使えることです。
セキュリティ面をはじめ、Siriなどへの実装も期待できるかもしれませんし、アップルの強みを生かしたサービスが出てくるのか楽しみですね。
(「Live News α」7月20日放送分より)