福井初のメジャーリーガー、吉田正尚選手。2023年初挑戦ながらも、打率が3割を超えるなど、大きな活躍を見せている。アメリカでの息子の活躍を福井市から見守るのが父、正宏さんだ。「子どもの頃から英才教育を続けてきたのでは…?」と想像しがちだが、その指導法を聞くと驚きの答えが返ってきた。

お父さん自身は野球経験ゼロ

取材に訪れたのは吉田選手の福井市の自宅。出迎えてくれたのは吉田選手の父・正宏さん。

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家の中にはユニフォームやトロフィーなど、子ども時代から現在までの活躍を象徴する品々が所せましと並ぶ。

今野真帆アナウンサー:
新しい貴重なユニフォームがまた増えましたね。吉田正尚選手のミニ博物館状態ですね

吉田正尚選手の父・正宏さん:
一番、新しいものがWBC関連ですね

メジャー挑戦と同じ年、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の出場も決めた吉田選手。“ミニ博物館”には、日本代表を率いた栗山英樹監督が直筆でしたためた熱い思いがこもった手紙もある。「日本のため野球のため大変なスケジュールの中、大きな決断を本当にありがとう」ではじまり、「共に世界の頂点へ」で締めくくっている。

WBCで吉田選手は主軸として大会史上最多の13打点を記録し、日本の世界一に大きく貢献した。今や日本を飛び出て世界で活躍する選手となったが、その幼少期はどんな少年だったのか?そして父、正宏さんはどのような子育てをしたのか?

ーーお父さんご自身の野球経験は?

吉田正尚選手の父・正宏さん:
ないです。遊びでソフトボールとか、神社の境内で三角ベースボールはやっていましたけど…。全く野球はしていない。だから皆さんから言われるんですよ、ほんとの息子かって(笑)

両親ともに本格的なスポーツの経験はない。父、正宏さんは「息子にほとんど指導することはなかった」と振り返る。

吉田正尚選手の父・正宏さん:
私は野球の知識がないので、指示することは全くなかった。言ったのは「思い切り振りなさい」とか、そういうことですね

吉田選手が野球を始めたのは小学1年生の時。負けず嫌いの性格で、体格では勝てない上級生に、どう勝てるかを考えていた。たどり着いた答えの一つが、ボールを遠くへ飛ばすために「バットを強く振る」ということだった。

「のびのびとやらせるのが一番良いのかなと」

吉田選手は子どもの時から、一度打ち込むととことん追求していたという。ついつい口を出したくなるのが親の心情だが、正宏さんは息子の姿を見守り続けた。

吉田正尚選手の父・正宏さん:
のびのびとやらせるのが一番良いのかなと。試合で結果が出なかった、ミスしたという時は本人が納得するまで、夜中11時頃まで練習に付き合った

加えて、それぞれの年代で良いメンバーや指導者に恵まれたことも吉田選手の成長に欠かせなかったという。正宏さんは進路やプロへの挑戦についても一切口を出さず、子どもの選択をすべて肯定し続けた。

子どもの自主性を尊重し、見守り続けるのが父、正宏さんの方針だ。約1時間の取材で聞けた具体的な指導は、「強く振りなさい」という吉田選手のバッティングの原点といえる指導だった。

吉田選手は今や「ミスターフルスイング」との異名を持つ選手に成長した。メジャーでもその力強いスイングは評価が高く、3割を超える打率を誇っている。そのバックボーンには、父親が息子に伝えた数少ない助言があるのかもしれない。

(福井テレビ)

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