6月に発生した富山・立山町での豪雨災害。そして今週も九州地方を中心に大雨による被害が出るなど、災害はいつどこで起きてもおかしくない。そうした中、防災の課題を解決しようと、大学生を対象としたワークショップが開かれた。キーワードは「段ボール」だ。

防災課題を解決へ 学生112人が参加

7月9日、立山町の立山青少年自然の家に集まった大学生たち。何やら真剣な話し合いが始まったかと思えば、段ボールをかぶっている人も。

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――何をしてる?

大学生:
これは頭を入れて、安眠を守る空間を作っています

大学生:
スリッパを作ろうとしているんですけど、スリッパの上の部分

この日開かれていたのは「防災の課題を段ボールで解決しよう」というワークショップ。

富山大学で地方創生など街づくりを総合的に学ぶ、都市デザイン学部の1・2年生112人が参加した。

仕掛けたのは段ボールに携わって20年、富山市に本社がある「サクラパックス」の松原史昌さんだ。

“段ボールは避難所で宝物”

段ボールは、軽いうえに丈夫で加工しやすいことから、東日本大震災でも避難所での活用が注目された。

サクラパックス 企画開発部・松原史昌さん:
会社の代表が東日本大震災の支援で被災者から「段ボールは避難所では宝物だよ」と言われた。一般的には段ボールのベッド、机、スツール(いす)。例えば避難所で床に座るとき、段ボールのいすがあれば、お年寄りにとっては膝の負担にならないですし

サクラパックスは、これまで防災用品を開発、市町村とも連携し、自社製品の強みを生かして地域防災に取り組んできた。今回、ワークショップの開催をもちかけたのも、学生に防災への意識を高めてもらう狙いがある。

サクラパックス 企画開発部・松原史昌さん:
大学生向けのワークショップは初めて。いろんなアイデアを出している。午後からそれらが本当に形になるのか楽しみ

ワークショップでは、それぞれ避難所の課題を設定、18班がアイディアを競う。普段、防災について意識しているか聞いた。

参加した富山大生:
この学科に入って授業として考える機会はある。実際に防災用品を作るのははじめて

茨城県出身、東日本大震災で避難を経験した学生:
一晩くらい学校の校庭で車中泊した。幼稚園児だったので、非日常を楽しんでいたという感じ

実際に避難を経験した学生もいたが、真剣に防災に向き合うのは初めての様子だった。

被災中でも日常を…デザイン性にも工夫

それぞれの班に与えられたのは、大きさの違う段ボール2枚と粘着テープ、はさみ、ペンのみ。2時間で考えをまとめ発表する。

最初はいまひとつピンときていない学生たちだったが、次第に議論が活発になっていた。時間をめいっぱい使いまとめた。

サクラパックス 企画開発部・松原史昌さん:
感動してます。ものの2時間で避難所について解釈して、2時間後に形になっている

各班1分間のプレゼンテーションで最も「いいね!」がつけられたのは、丸みを出すことに苦労していたあの「スリッパ」だった。

スリッパを考案した富山大生:
最初は「おしゃれ」に目をつけなかったのに、被災している中でも日常的に楽しんていることを入れるのって大事じゃないかなと思った

足元を守るという最低限の快適性を確保しながら、デザイン性にも工夫した点が多くの人の心をつかんだ。

今まさに起こるかもしれない「もしも」のため、学生たちにとっても自らの行動を具体的に考えるきっかけになったようだ。
今回、優秀作品に選ばれた作品は8月19日の土曜日、富山市のショッピングセンター・ファボーレで開催する防災イベントで展示される。

(富山テレビ)

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