喫緊の課題とされる「少子化問題」「子育て」。
特に愛媛の「保育の現場」からは「余裕やゆとりがほしい」という切実な声が聞かれるなど、現場が模索する中、2023年6月13日、政府は「異次元の少子化対策」を実現するための「こども未来戦略方針」を発表。

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その中で、実に「75年ぶり」に保育士の配置基準が変更される方針だ。この変更で保育の現場に「ゆとり」は生まれるのか?愛媛で保育所の経営やママコミュニティの運営など、母親たちの支援を行う川﨑暁子さんに話を聞いた。

県「充足」も現場では足りず…

愛媛の保育環境をデータで見ていくと、現在、県内には保育所・幼稚園といった保育施設が約600あり、保育士の数は6,000人弱。また待機児童数は9人で、全てゼロ歳児だ。

このうち保育士6,000人弱という数字に関して、愛媛県の子育て支援課は「必要な保育士は充足しており、保育士不足といわれていることを客観的に示すデータなどは持ち合わせておりません」としている。

ーー県としては「必要な保育士は充足している」ということだが、川﨑さんは実際に保育所を運営されていて、現状十分足りていると感じていますか?

保育所経営・ママコミュニティ運営などを行う川﨑暁子さん:
現場の感覚ではまだまだ足りてないかなっていうところはありますね。逆にやっぱり朝早い勤務の「早番」だったりとか、夜遅い勤務の「遅番」だったりの時間帯には、(保育士が)まだちょっと足りてないかなっていうところはある

配置基準を変更で一歩前進

2023年6月13日、政府は「異次元の少子化対策」を実現するための「こども未来戦略方針」を発表。その中で、保育士の配置基準が、実に「75年ぶり」に変更される方針だ。

1歳児の場合、これまでは保育士1人が6人の園児をみていたが、これを5人に変更。4・5歳児では、保育士1人が30人の園児をみていたが、25人に減らす方針。

国はこれによって、「一人一人の園児を丁寧に見ることができるようになる」という考えだが、年間約150人の保育士を輩出している松山東雲短期大学保育科の加納章准教授は「配置基準を変えるのは、保育の質をあげるという意味で一歩前進。ただ、これまで以上に保育士の数が必要になる上、財源はどうするのかなど中身の議論が必要」と指摘している。

ーー保育士の配置基準の変更について、川崎さんはどのように受け止めていますか?

保育現場資料映像
保育現場資料映像

保育所経営・ママコミュニティ運営などを行う川﨑暁子さん:
「ゆとり」というところで言うと、保育士の配置変更というのは、まあありがたいなと思うが、やはり、その財源というところに関して言うと、やっぱりまだまだ課題が残るのは本当にその通り。あとは「保育士のなり手」の問題もあげられる

今後、国の方針をもとに「具体的な制度の中身をどう設計していくのか」「財源をどうするのか」現場の声を反映した議論と子育て世代だけでなく全ての世代に対して丁寧な説明が必要となる。

「保育士になりたい」と思う人たちのために

保育所経営・ママコミュニティ運営などを行う川﨑暁子さん:
先日、高校生の男の子が私たちの園にインターンシップに来てくれたのですが、この笑顔と「一所懸命働いてみたい」という気持ちを受け止めてあげるだけの園にするには、保育士の処遇の改善や、職場環境の改善、事務作業の負担軽減などはすごく必要なことだなと思いますし、何より先輩保育士が生き生きと働いているところをみせていけたらいいなと思います

未来の子供を育む、未来の保育士が、やりがいをもって働ける環境つくりが、今、求められている。

(テレビ愛媛)

テレビ愛媛
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