SNSを専門に扱う、フジテレビ・ネット取材部の部長が注目の現場を取材する「ネット列島」。今回は、令和にバズる神社仏閣、がテーマ。“TikTok僧侶”と“サイバー神社”を取材した。
若者に人気のSNSで法話 「自分を認めてあげれば十分幸せ」副住職の思い
お寺で撮影された動画がSNSで大きな話題になっているとのことで、訪れたのは、群馬・安中市にある「雲門寺」。
この記事の画像(41枚)寺を訪れると、お経を読んでいるお坊さんが…。雲門寺で副住職を務める、古溪光大(ふるたに・こうだい)さん(28)だ。
ーーバズってるお坊さんだとお伺いしたんですけれども?
古溪さん:
この後、早速やりたいなと思っていまして。
そう言って古溪さんが取り出したのは、細いドーナツ型になっている照明だ。
ーーえ、ここでやるんですか?
古渓さん:
はい、こちらがご本尊様ですので。
ご本尊の前でスマホを取り出し、照明にセット。いわゆる自撮りだ。すると…。
古渓さん:
私は生きていていいのでしょうか?私には価値があるんでしょうか?そんなふうに尋ねてくる方がいます。
なんとスマホで配信しているのは、法話だ。
古渓さん:
世の中からいなくなってしまいたい。消えてしまいたい。それでも大丈夫。今までそうやって1人で生きてきたんですよね。そうやってずっと頑張ってきたんですよね。
お坊さんが優しく語りかけてくれるこの法話動画、なんと140万回以上も再生されているのだ。
古渓さん:
大丈夫、大丈夫。あなたは大丈夫。
「涙が出てきた」「辛い時に見て救われています」など、ネット上には、古溪さんの法話に救われた人が大勢いるようだ。
ーーお寺の在り方でTikTokを使うって、違和感はないですか?
古溪さん:
色んなご意見があると思います。確かにお寺にスマートフォンを置くのはどうなんだって言われることもあるんですけど、このスマートフォンっていうインターネットの時代だからこそ、届く人がいる。
困ったらまずお寺さんに相談しようっていうのが、本来の昔からのお寺のあり方だと僕は思っていて、それを今の時代に合わせてやっていこうというところです。
修行を通じて、人間の在り方について考えてきた古溪さん。法話にTikTokを使うのには、SNSが盛んな現代だからこその理由がある。
古溪さん:
TikTokって若者が、可愛い女の子とかかっこいい男の子とかがダンスをして、みんなが見る(評価する)ような媒体だと思うんですけど。その中にあえて仏教の考え方とか、誰に褒められなくても、誰に評価されなくても、自分が自分のことを認めてあげれば充分幸せに生きていけるっていうことを、若者世代に伝えたい。
歴史ある神社がLEDでライトアップ!実は昭和30年代にも…
続いても、SNSでバズっている神社があると聞きやってきたのは、福岡市の中司孫太郎(なかつかさ まごたろう)稲荷神社。
鎌倉時代の開創と伝わるこの神社、こじんまりとした階段の左右には朱色に塗られた立派な灯籠が並び、狐が描かれているものも。
一見バズる要素がないように見えるが、夜になると、別の表情が。
灯籠がLEDでライトアップされ、ピンク色に光り輝くのだ。狐の顔も光っている。
6月、この写真が「サイバー神社がカッコ良すぎた」というコメントと共にSNSに投稿されると、4万いいねを超える大反響に。
このライトアップのアイデア、本殿を片付けていたところ、一枚の写真を見つけたことがきっかけだったという。
写真が撮影されたのは、昭和30年代。暗い世の中を吹き飛ばそうと、鳥居をネオン管で装飾したのだという。
中司孫太郎稲荷神社の広報・堂森英雄さんは、「あっ!これ令和版で、LEDで華やかに綺麗にしたら(参拝客が)来てくれるんじゃないかと思い、こういうのをやってみました」と話す。
ネオンから、サイバーへ。令和によみがえったライトアップだった。
参拝客誘致だけじゃない、ライトアップの切実な理由
この神社、サイバー風でライトアップされているのには、もう一つ理由があった。
この神社の本殿に、金網が貼られていて、その中にさい銭箱がある。賽銭の際には、金網の上に設置された蓋を開けて入れなくてはならない。
サイバー風なライトアップも、いわば賽銭泥棒対策の面があるのだ。古いものをなんとか守っていきたい、という思いが詰まった神社だった。
(「イット!」7月5日放送より)