「段ボール」を材料に、建物や鉄道車両を再現する「ダンボールクラフト」。今にも走りだしそうなSLの模型を段ボールで制作したのは、島根・出雲市に住む原禎幸さん(68)。旧国鉄で運転士を務めた経験もあるという原さんが、作品に込めた思いを聞いた。
精巧な車両の材料は「段ボール」
鉄橋を渡る「法勝寺電車」は、かつて鳥取県西部の米子市と南部町の間を走っていた。電車の窓やパンタグラフなどのパーツから、レールや線路の砂利まで、段ボールを使って精密に表現されている。

出雲市多伎町で開かれている作品展を開いたのは「ダンボール作家」の原禎幸さん。段ボールを材料に製作した鉄道車両や駅舎などの作品20点を通じ、山陰の鉄道の歴史を振り返る。

ダンボール作家・原禎幸さん:
自分が楽しむのが一番。昔の思い出を自分で再現している

原さんは高校卒業後、旧国鉄に勤務。13年間にわたって山陰本線などを走る列車の運転士だった。2016年、幼い孫のために段ボールを使っておもちゃを手づくりしたのをきっかけにダンボールクラフトの世界にはまり、思い出の世界を再現するようになったという。

ダンボール作家・原禎幸さん:
開けますよ、はいどうぞ

原さんの作品の一つ、かつての大社駅のダンボールクラフトを見せてもらった。屋根を取りはずすと、駅舎の中の切符売り場や改札口も細部まで作り込まれている。

始めのころは、神社や城など建物を作ることが多かったそうだが、2020年に大社駅を作ったのをきっかけに、鉄道にまつわる作品を手掛けるようになった。これまでに20作品を仕上げたという。

最新作の寝台特急「サンライズ出雲」は曲線部分の細工が難しく、完成まで約2カ月かかったということだ。

ダンボール作家・原禎幸さん:
「サンライズ出雲」は、とにかく車両の先頭部分の「曲がり」をどうするかがポイント。試行錯誤しながら、気に入らないと切ったり捨てたりして仕上げた

来場者:
山の斜面のところを1枚1枚重ねていて、木の葉っぱとかも細かくて、わたしにはできないと思った

来場者:
こんなに細かいとは思っていませんでした。すてきです

ダンボール作家・原禎幸さん:
作品の時代をご存じの方は懐かしんでもらえるし、見たことのない人はこんな風になっていたんだと思って見ていただければ
作品を通じて、列車が走っていた当時に思いをはせてほしいという原さん。今後は、倉吉線(鳥取)や三江線(島根・広島)など山陰の廃線を段ボールでよみがえらせたいと意気込んでいる。
(TSKさんいん中央テレビ)