JR山陰本線の鳥取―出雲市間を走る観光列車「あめつち」は、2024年度からJR木次線の宍道(松江市)―出雲横田(奥出雲町)にも乗り入れることが決まっている。JR西日本が、木次線を走るトロッコ列車「奥出雲おろち号」の2023年度限りでの運行終了を決定し、その後継として投入されることになった。観光関係者やメディア向けに開かれた試乗会を取材した。
「あめつち」初めての木次線乗り入れ
TSKさんいん中央テレビ・村上遥アナウンサー:
観光列車「あめつち」は、通常山陰本線を走っていますが、きょうは特別に木次線を走っています

いつもは山陰本線の鳥取―出雲市間を走る観光列車「あめつち」だが、この日走るのは木次線だ。

JR西日本は、老朽化を理由に2023年度限りで木次線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」の運行終了を決定した。その代わりに「あめつち」を木次線で走らせる。
正式な運行開始を前に、4月19日、旅行会社や沿線自治体などでつくる木次線利活用推進協議会が観光関係者やメディアを対象にしたモニターツアーを実施した。

松江駅を出発した「あめつち」は宍道駅を過ぎると、山陰本線から別れ木次線へ。「あめつち」にとって初めての木次線乗り入れだ。

山陰の海と空をイメージした紺碧(こんぺき)の車体が、緑豊かな景色のなかを疾走する。いつもと違う車窓からの眺めも格別だ。

TSKさんいん中央テレビ・村上遥アナウンサー:
鳥取県の因州和紙や、島根県産の黒松が調度品に使用されるなど、山陰の工芸品がふんだんに使われています。車内からは、木次線沿線の山々を中心とした風光明媚(めいび)な景色を楽しめます
車内の装飾、そして、車窓からの眺め、その両方で山陰の魅力を堪能することができる。
トロッコ列車とは違った“大きな魅力”
「あめつち」は終点の出雲横田駅に到着。しかし、ツアーはこれで終わりではない。

TSKさんいん中央テレビ・村上遥アナウンサー:
木次線を特別に走った列車の旅はここで終了。ここからはバスに乗り込みます

ツアーを企画した協議会は「あめつち」の乗り入れを木次線沿線の活性化にもつなげようと、バスツアーを計画。今回、参加者は4つのコースに分かれ、沿線の観光名所を巡る。
奥出雲地方に伝わる「たたら製鉄」の歴史を学び、特産「仁多米」を生む広大な棚田を見学。
沿線の歴史と自然に触れるツアーだ。

木次線利活用推進協議会・石飛厚志会長:
トロッコ列車とは楽しみ方が違う。大きな魅力を持っている車両だと感じた。地域沿線全体で、たくさんのお客さんに来てもらえるように活用していきたい
赤字が続き、廃止も危ぶまれる木次線。引退する「奥出雲おろち号」からバトンを受ける「あめつち」が、沿線地域の観光振興に一役買えるのか、期待が集まる。
(TSKさんいん中央テレビ)