子供から良く「友達が持っているからこのオモチャが欲しい」などとねだられることはないだろうか?そんな時、どうやって諦めさせるのか。逆に子供にとってみれば、どうやって親を説得できるのか。調べてみると、そこには相互のコミュニケーションのあり方に問題があった。

買ってほしい子と、できることなら買いたくない親

石川県野々市市の小学6年生、平裕萬君(11)からこんな疑問が寄せられた。

平裕萬君:
友達みんな持っているから買って欲しいとお母さんに説明しても買ってくれません。どうしたらいいですか?

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質問を受け、秋末械人アナウンサーが裕萬君のもとを訪ねた。

裕萬君:
お母さんにちゃんと伝えているのに買ってもらえない。
秋末械人アナウンサー:
どうやって伝えているの?
裕萬君:
「友達の名前を言えたら買ってあげるよ」と言われたので、名前を挙げたんだけど買ってもらえないということが何回かありました。

裕萬君の母、万智子さんにも話を聞いてみた。

秋末アナ:
裕萬くん、お母さんに「友達がみんな持っているからゲーム機を買ってほしい」と言っても買ってもらえないそうです。
母 万智子さん:
「本当にみんな持っているの?」って疑問になりますし。持っている友達の名前を挙げさせたら本当に挙がってくるし、でもやっぱり買い与えたくないしっていう気持ちで「我慢して」と。

そこで裕萬君、欲しいものは雑誌の懸賞などにせっせと応募し当ててきたというのだ。

懸賞で当てたゲーム機とソフト
懸賞で当てたゲーム機とソフト

秋末アナ:
おねだりして買ってもらえたことってあんまりないの?
裕萬君:
うん、本当にない。
秋末アナ:
どうやったら伝わるかね?
裕萬君:
もっと名前を挙げてそれで具体的にしたら買ってもらえると思います。

世の親は子のおねだりに四苦八苦

ひとまず街に出て、子供のおねだりにどう対処しているか聞いてみた。

4歳の子供を持つ親:
「友達が持っている」という台詞を出されたら、「じゃあ貸してもらえばいいじゃん」とか。

小学2年生の子供を持つ親:
話題に入れないとなるとやっぱりあった方がいいかなって思う。クラスの半分ぐらい持っていたら、あった方がいいんかなと。

ミキハウス子育て総研の調査では、買い物中におねだりされた時の対応として最も多いのが「興味をそらす」で、次に「我慢させる」だった。

では、裕萬君のお母さんはなぜ買ってあげないのか。

母 万智子さん:
昔使っていたゲーム機のWiiがありますし十分遊べるので。
秋末アナ:
例えばテストで何点だったらとか、そういう話にはならないんですか?
万智子さん:
元々勉強は頑張ってくれているので、残念ながらうちの場合は一筋縄ではいかなさそうです。

周りの“みんなと同じがいい”という子供たちの心理

そこで北陸大学心理社会学科の小島弥生教授と講師の仲嶺実甫子さんにアドバイスをもらった。そもそも裕萬君はなぜ、おねだりをする際に「友達がみんな持っている」と言ったのだろうか。

小島教授(左)と仲嶺講師(右)
小島教授(左)と仲嶺講師(右)

北陸大学心理社会学科 小島弥生教授:
基本的に私たちは大勢の人が同じことをやっていることが正しいことである、確かなことであるという風に思い込んでしまうんですね。

イメージ
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これは社会心理学の言葉で「社会的証明」と呼ばれるもの。集団の中で自分の行動を決める際に
他人の行動に影響を受けてしまう同調の一種だ。

小島教授:
羨ましいから自分もそこに追いつきたいという方向に気持ちが働くんだと思うんですよね。特に小学生ぐらいだと友達の集団の中で同じ状態であるということが安心材料になる。

相手の心を開く「アサーティブ・コミュニケーション」とは

それではどう言えば、欲しいものを買ってもらえるのだろうか?

仲嶺さん:
心理学の中では上手なコミュニケーションを取るだとか、上手なお願いをすることをアサーティブなコミュニケーション、アサーティブな自己主張という風に言ったりするんですけど、自分の主張を絶対としない、相手の意見も聞くというスタンスを持ちながら自分の意見を伝えるということが大事になってきます。

仲嶺さんがおすすめするアサーティブな自己主張。自分の主張を相手に率直に伝えるのだが、それを押し通してはいけない。お互いに相手の意見を尊重し自分に何ができるのかを考えるのだ。

仲嶺さん:
お子さんの方から、お母さんはどうして買いたくないと思っているのかを聞いてあげる。すり合わせていい落としどころを一緒に見つけよう、という感じでお話しいただけるといいんじゃないかなと思います。

一方、おねだりされた親はどうしたら良いのだろうか。子育てアドバイザーの高祖常子さんに聞いた。

高祖常子さん
高祖常子さん

子育てアドバイザー 高祖常子さん:
高価な物だったらそんなにしょっちゅう与えるということは難しいので、誕生日にあげられるか相談してみようとか、お年玉の中でやりくりができないか考えてみようかとか、お互いにある程度納得できるラインを見つけていくという、そういうコミュニケーションがすごく大事。

ちなみに裕萬君が欲しかったゲーム機は、なんとお母さんが福引で5万円を当て、そのお金で買ってくれたそうだ。

(石川テレビ)

石川テレビ
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