ロシアの民間軍事会社ワグネルは、国内の軍事施設を占拠するなど武装反乱を起こしたが、その後撤退を表明、部隊は駐屯地に引き返した。武装した反乱軍が、首都モスクワまで200kmの地点に進軍した今回の騒乱は、プーチン政権に衝撃を与えた。

ロストフ州・24日
ロストフ州・24日
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ワグネルは、24日、ロシア南部ロストフ州にある軍の南部軍管区司令部を制圧し、首都モスクワまで200kmの地点に進軍した。プーチン大統領は、「武装反乱だ」と非難し「鎮圧する」と表明、ワグネルのトップ・プリゴジン氏は24日、部隊を駐屯地に引き返させると表明した。ワグネルの部隊は、市民から声援を受けながら、撤退を始めている。

市民の声援を受けながら撤退するワグネルの部隊(SNSより)
市民の声援を受けながら撤退するワグネルの部隊(SNSより)

事態の打開には、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介したとされ、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、「プリゴジン氏への捜査は終結し、プリゴジン氏はベラルーシへ行くことになる」と述べたほか、「反乱した部隊は不問に付す」などと表明している。

ウクライナ軍反転攻勢の“追い風”になるか

ロシアが内紛で混乱する中、ウクライナ側では今回の内紛でロシアの侵攻部隊が弱体化し、反転攻勢の追い風になることに期待が高まっている。

ウクライナ軍は24日、SNSを通じて、東部ドネツク州の中で2014年からロシアに支配されていた、複数の地域を解放したと発表した。

ゼレンスキー大統領は、ワグネルの反乱について、「ロシアの弱さは明白だ」と主張、「悪の道を進んだものは、皆自らを滅ぼす」としてプーチン大統領を非難。

ウクライナ国防省情報局のブダノフ長官もツイッターで、ワグネルとロシア国防省との対立を「権力と金をめぐる共食いだ」と投稿。

ポドリャク大統領顧問は「プーチン体制崩壊が始まる前段階か」とツイートしている。

今回の内紛でウクライナ軍の兵士の士気が上がり、反転攻勢がより一層強まる可能性が出てきている。

国際取材部
国際取材部



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