長野県内でもマイナンバーカードにひも付けされた健康保険証を利用した「オンライン資格確認」でトラブルが相次いでいたことが県保健医協会の調査で分かった。協会は2024年秋に予定されているマイナンバーカードへの一体化を撤回するよう求めている。また、県民からは「怖くて使えない」といった不安の声もあがっている。
「マイナ保険証」で7件トラブル
マイナンバーカードは6月11日時点で国内の77.2%が申請。このうち、給付金などの受け取り口座とひも付けしている人は60.6%。健康保険証とひも付けしている人は69.3%にのぼっている。
駒ヶ根市の歯科医院。2022年6月、ひも付けされた「マイナ保険証」から患者の保険の資格情報などを読み取る「オンライン資格システム」を導入した。
この記事の画像(9枚)しかし、22日までに保険者の情報が正しく反映されていなかったなど7件のトラブルがあった。当日、会計ができなかった、従来の保険証で確認したという例もあった。
とうせい歯科医院・池上正資院長:
患者にとって負担になる。確認できないと保険診療そのもができなくなってしまう。どうやって保険診療をスムーズに進めるか、一番心配な点
67%「トラブルがあった」
こうしたトラブルは県内の他の医療機関でも確認されている。
県保険医協会・原淳事務局長:
そもそも(マイナ保険証の)登録が間違っている。あってはならないこと
県保険医協会は「オンライン資格確認システム」について県内898の医療機関を対象にアンケートを実施。
その結果、回答のあった121施設のうち、「トラブルがあった」としたのは71施設、67%にのぼった。
内容は「保険者の情報が正しく反映されていなかった」が43件で最も多く、「他人の情報にひも付けられていた」ケースも2件あった。
県保険医協会・原淳事務局長:
保険資格がちゃんとあるのに無効であったりとか、資格がないとか、初診の患者さんであったりとか10割(負担)で(医療費を)いただく必要が出てきてしまう
全国では“誤登録”相次ぐ
「マイナ保険証」だけではない。
先日、河野太郎デジタル相が松本市の窓口を視察。マイナポイントを受け取る様子を確認した。
松本市では目立ったトラブルはないものの、全国では他人の口座がマイナンバーにひも付けられる誤登録が相次いでいる。
河野太郎デジタル相:
確実にログアウトもしていただいてましたし、説明も非常にスムーズ。このまましっかりと新しい誤登録を防いでいけるのでは
河野デジタル相はこのように述べたが、この他にも、「他人の年金情報が閲覧できる状態になった」「コンビニで他人の戸籍証明書が交付された」などのトラブルも確認されている。
「怖くて使えない」という声も
県民は―。
70代:
あえてずっと作っていない。セキュリティーがもっとしっかりしたものにならない限りは使えない、怖くて
30代:
不安感はありますけど、保険証なくなると困るからマイナンバーカード作らないといけないかなと
60代:
大事ないろんな情報が入るのでなくしたときはどうなるのかとかね、運用の仕方が確定してないと怖い気はします
県保険医協会「急ぎ過ぎている」
さまざまななトラブルが相次いでいるが、政府は2024年秋に現在の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針だ。
県保険医協会は、急ぎ過ぎているなどと撤回を求めている。
県保険医協会・原淳事務局長:
(マイナンバーカードは)あくまで申請主義で取得は任意になっているので、申請漏れだったり、申請遅れで無保険の状態になる方もいるかもしれない。医療を必要にしている方にとっては、現行の保険証は廃止せず存続する必要がある
国民の不安は払しょくできるか
21日、岸田首相はー。
岸田文雄首相:
来年秋の保険証廃止への国民の不安を重く受け止めており、現行の保険証の全面的な廃止は国民の不安を払しょくするための措置が完了することを大前提として取り組みます
政府は21日「マイナンバー情報総点検本部」を立ち上げ、「コロナ対応並みの臨戦態勢」で、保険証だけでなく全てのデータを点検するとした。
国民の不安は払しょくできるのか?
(長野放送)