札幌市東区の市街地で4人がクマに襲われた事故から、6月18日で2年が経った。2023年もクマの目撃情報が相次ぐ中、札幌市のクマ対策はどうなっているのだろうか?

生活圏への“クマ”出没増加…対策は?

事故を目撃した人:
クマがいる。人が!

この記事の画像(18枚)

三宅真人 記者:
クマが自衛隊の門から入ろうとしています

2021年、札幌市東区の市街地にクマが突然出没。4人が襲われ重軽傷を負った。

あれから2年…今も札幌にはクマの出没が相次いでいる。

6月13日には札幌市西区の公園で小学生が茂みにいるクマを目撃。札幌市は6月15日から登山道や公園の一部を閉鎖し、北海道は札幌市西区などにヒグマ注意報を出した。

付近の住民:
子どもの公園遊びが心配。通学などの心配も多い

札幌市のヒグマ出没情報は、2023年度は6月15日までに70件。2022年度同時期の46件を大きく上回っている。

札幌市の対策…「ゾーニング管理」

札幌市ではクマと人のすみ分けのため4つの地域に分け、それぞれに適した対策を進める「ゾーニング管理」を行っている。

札幌市 環境共生担当課長 坂田一人さん:
クマ全部が害獣だと思っていないし、全てのクマを保護しなければならないとも考えていません。有害性のあるクマについては、駆除・捕獲していかねばならない

生活圏での出没が増えている中、市民はクマ対策をどう考えているのだろうか。

札幌市民:
基本的には共存しなければいけないと思います

札幌市民:
対策をしても出てくるのは、仕方ないと思います

札幌市民:
具体的に何をやっているのか、よくわからないです

札幌市民:
できれば駆除してほしいです

札幌市民:
夜に歩いていると、ちょっと怖いと思うときはあります

生活圏へのクマの出没の増加に危機感を抱いている専門家もいる。

横浜国立大学 松田裕之 名誉教授:
市街地に出てきている状況自体が緊急事態。クマも人を恐れ、人もクマを恐れないと共存できません

そのためにはメスのクマを捕獲する最低ラインを定め、個体数を減らすべきだという。

横浜国立大学 松田 裕之 名誉教授:
どれだけ捕らなければいけないか、議論をしっかりしないといけない。捕った分しか減らないということ

“クマ”個体数を把握できる?最新研究も

クマの個体数を把握し、有効な対策が期待できる研究が進んでいる。北海道大学大学院の研究チームは、クマのDNAから誤差1歳という高精度で年齢を推定する方法を確立した。

北海道大学大学院 獣医学研究院 中村 汐里さん:
水滴のような、いま入れたのがDNA。この少しのDNAで年齢が推定できます

年齢がわかると地域ごとのクマの増減などを予想でき、より有効な対策が取れるということだ。

北海道大学大学院 獣医学研究院 下鶴倫人准教授:
年齢情報は非常に重要な情報。クマの保護管理をどうしていくべきか、クマが地域ごとに増えるのか減るのかなどの情報を得るため、非常に活用することができます

市民を驚かせた、市街地でクマが人を襲う事故から2年。クマ対策のあり方が問われている。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
北海道文化放送

北海道の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。