次から次に発覚しているマイナンバーをめぐるトラブル。福岡県内でも誤って他人の口座が登録されるなどのミスが確認されていて、制度への不信感は高まる一方となっている。

全国各地でトラブルが続々と発覚

福岡の街でマイナンバーカードの利用状況について話を聞いてみると。

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60代・マイナカードを持っている人:
パスポートとか切れてるし、写真付き免許証もないし持ってないので、やっぱりこれ必要なんですよね、何かのときに。あんまり作りたくはなかったんですけどね

50代・マイナカードを持っている人:
ことしの3月くらいに取得して、まだポイントとかも付けてないので、今から急いでやろうとしているところですね。情報が流出してるってことなので、そこはもっとちゃんと管理してもらいたい

50代・マイナカードを持っていない人:
(持ってない理由は)ちょっとネットが苦手なので、かと言って、(役所に)行くと人が多かったりするから、作ってないままになってます。(マイナトラブル続出で)作ってなくてよかったなと思いました

身分証明書としての役割のほかにも、住民票を交付するサービスや保険証としても利用でき、利便性が向上すると政府が導入したマイナンバーカード。現在、カードを申請している国民は77.2%にものぼる(2023年6月11日現在・総務省より)。

しかし、マイナカードが浸透する中で、全国各地でトラブルが次から次に発覚する事態になっている。6月13日には…。

加藤勝信 厚労相:
関係する方にはご迷惑をおかけし、また、国民の皆さんには、ご心配をおかけしていることに、あらためて申し訳なく思っております

加藤厚労相は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に他人の情報が誤って登録されていた事例が、新たに5月22日までの半年間で60件あったと発表した。このうち4件では、受診履歴や薬に関する情報などが閲覧されていたという。

マイナ保険証の誤登録は、あわせて7,372件にのぼっている。

国会では岸田首相に野党が追及する場面も

ミスは福岡県内でも発生した。北九州市は、2023年5月までにマイナンバーに誤って他人の口座が登録されるなどのトラブルがあわせて3件起きていたことを明らかにした。

市によると、事務員が端末で口座番号の入力などの手続きを行う際に、その前に行っていた別の市民の手続きを中断し、ログアウトしないまま作業したことが原因としている。まさに、「底なしの様相」を見せているマイナンバーをめぐるトラブル。

国会では、野党が岸田首相を厳しく追及する場面も見られた。

立憲民主党・柚木道義議員:
なんと、他人の年金情報が閲覧できる状況になったんですよ。オレオレ詐欺とか犯罪情報に使われかねません。ほかにも事例があるんじゃないですか。早急に調査を公表して、対策を講じてください

岸田首相:
速やかに関連するデータの総点検、再発防止策とあわせて公表するよう、関係大臣に指示をしたところであります

マイナンバーをめぐるトラブルが相次いでいることを受けて、岸田首相は「関連する既存のデータやシステムの総点検を、ことし秋までに行う」と表明した。

相次ぐトラブルの背景について情報社会学に詳しい専門家は。

城西大学 助教・塚越健司さん:
今回に関しては、明らかに急ぎすぎたということですね。この2年間、特にこの1年で急ぎに急いでデジタル化を進めたんだけれども、実際のところは、やはり人力ですよね。特に自治体の人がかなり手を使ってデジタルではないことをしているということで、しわ寄せがきてしまった。職員の方がかなり疲弊したというところに一番大きな原因があったのでは、と思います

国民の不信感が募る一方となっている“マイナトラブル”。混乱は当面続きそうだ。

(テレビ西日本)

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