コーヒーそっくりだが、原料は大豆。ノンカフェインで栄養もたっぷり。さらに、大豆コーヒーを使ったスイーツも誕生。大豆生産量全国一の北海道が生んだ味が広がっている。

「香ばしい風味がしてとてもおいしい」、「普段は飲まないです。でも、これは飲めます。おいしい」(女性客)
“大豆コーヒー”を提供する「もちごやマム」
旭川市から車で約1時間の上川町に2023年1月にオープンしたカフェ「もちごやマム」。
自家焙煎の「大豆コーヒー」を提供している。

「大豆コーヒー」は焙煎して香ばしさを引き出した大豆を粉にして、コーヒーと同じようにお湯を注いでドリップする。
カフェインが入っていないため、妊娠中や授乳中の人も飲むことができる。
タンパク質やビタミンなど豊富な栄養素もまるごと取り込める。

「しっかり焙煎しているのでコーヒーの苦みを感じられるのが一番のポイント。違うのは香り。大豆の甘い香りがする」(もちごやマム・辰巳佳子さん)
経営するのは、大豆を栽培する辰巳さん一家。

上川町の新しい特産品になればと店を切り盛りする佳子さんの弟・裕亮さんが町内の仲間とグループを立ち上げ、8年ほど前からコーヒー作りを始めた。
「大豆も豆だからコーヒーみたいに焙煎してできないかなというところから。ネットで調べたらフライパンで炒って作っている人がいて、これなら今できるね、というのが最初のきっかけ」(辰巳裕亮さん)
使用している大豆はしっかりした甘みが特徴の「とよまどか」。

素材の良さを生かすため、焙煎の時間や温度を研究した。
「ある程度、コーヒーっぽさ苦みや深みも出しつつ、甘みを残すようなバランスを焙煎では一番気にしている」(辰巳裕亮さん)
上川町の新しい特産品に
カフェでは、大豆コーヒーの粉末やドリップタイプの商品も販売している。

「コーヒー自体あまり飲めないけれど、大豆コーヒーはおいしく飲める人もいる。カフェオレもおすすめ。アイスに粉末をかけるのもいい」(もちごやマム・辰巳佳子さん)
上川町の新しい特産品にしたいと、パッケージには町のキャラクター「かみっきー」をデザインし、PRもばっちり。

こうした取り組みを町内の飲食店も盛り上げている。
大豆コーヒーを使用したデザートも
大豆コーヒーの粉末をたっぷり練りこんだ「上川大豆コーヒージェラート」は、コーヒーの苦みを大豆のまろやかな甘さが包み込んだ優しい味わいだ。

生産者を元気づける存在に
生産量全国一の北海道の大豆。大豆コーヒーは生産者を元気づける存在になると考える人がいる。
札幌市手稲区でコメを扱う卸会社、札幌加藤商店も大豆コーヒーの開発に取り組んだ。

「うちの会社はもともと豆屋。豆を商品開発したいというのがあって、コーヒーとくっつけたかった」(札幌加藤商店・佐々木真実子さん)
1日3杯はコーヒーを飲むという佐々木真実子さん。
研究を重ね、3年ほどかけて納得いく味に仕上げた。
パッケージにはマグカップを手に持ったエゾリス。

かわいらしく手に取りやすい商品になった。
「海外で大豆コーヒーの需要が伸びているみたい。海外からオファーが来てくれたらうれしい。特に生産者の人たちに恩返し、還元できることがうれしい」(札幌加藤商店・佐々木真実子さん)
北の大地で育まれた大豆コーヒー。
生産者の思いと栄養がたっぷり詰まった一杯が飲む人の笑顔を作る。
(北海道文化放送)