岩手・陸前高田市で6月4日、全国植樹祭が行われ、4年ぶりに天皇皇后両陛下が出席されました。両陛下は式典前日の6月3日から来県し、東日本大震災の被災地に心を寄せられました。この2日間を振り返ります。
天皇皇后両陛下 即位後初の来県
陸前高田市で4日に開かれた全国植樹祭。県内では現在の八幡平市(旧・松尾村)で1974年に行われて以来、2回目の開催です。
この記事の画像(15枚)式典には即位後初めての来県となる天皇皇后両陛下が出席され、全国から約4,000人が参加しました。両陛下は4日まで2日間県内に滞在し、東日本大震災の復興状況を視察されるなど、2023年の全国植樹祭は被災地を勇気づける式典となりました。
6月3日午前11時ごろ、花巻空港には約250人が集まり、天皇皇后両陛下のご到着を心待ちにしていました。特別機で花巻空港に到着された両陛下は、来県を歓迎する人たちに手を振って応えられていました。
「優しい時間が流れた瞬間だった」
このあと、両陛下は陸前高田市を訪問され、お二人の姿を目にした沿道の市民からは喜びの声が聞かれました。
陸前高田市民:
両陛下が見えてうれしかったし、会えてうれしかった
陸前高田市民:
皇后さま、天皇陛下を見たかったので良かった
両陛下はその後、東日本大震災の追悼施設で白い花を手向けられ、津波が起きた海に向かい深く一礼されました。
続いて両陛下は、佐々木拓陸前高田市長の説明を受けながら「奇跡の一本松」を視察され、「とても大きいですね」「この高さまで津波がきたのですか」と何度も見上げられていました。
陸前高田市・佐々木拓市長:
私の実家も津波で流されているが、そのことに触れていただいた。「大変でしたね」と。本当にありがたいと思った
また、津波伝承館では津波に押しつぶされた消防団の車両などを見学されたあと、両陛下は震災の伝承活動に取り組む施設の解説員などと懇談されました。
東日本大震災津波伝承館・解説員 人首ますよさん:
「震災で大変なご苦労をされましたね」と皇后さまから言われた。優しい時間が流れた瞬間だった
4日は式典に先立ち、会場の周辺で植樹祭の招待者約2,000人が合わせて3,100本の苗木を植えました。
大槌町の小学生:
どんな木に育つのか今から楽しみ
大槌町の中学生:
この木が大きくなったら友達と一緒に来て自慢したい
天皇皇后両陛下が植樹
そして迎えた全国植樹祭。新型コロナウイルスの影響で、天皇皇后両陛下が現地を訪れ式典に出席されるのは4年ぶりです。
はじめに震災の犠牲となった人たちへ黙とうが捧げられました。
天皇陛下お言葉:
東日本大震災からの復興の象徴である「奇跡の一本松」が立つ、ここ「高田松原津波復興祈念公園」において、全国から参加された皆さんと一緒に植樹を行うことができることをうれしく思います
森林づくりのシンボルとなる記念樹のお手植えでは、緑の少年団を務める地元の小学生が介添えし、両陛下が県の木・ナンブアカマツなどを植樹されました。
また、式典では豊かな森林を未来へ継承する決意が朗読やダンスで表現されました。
感謝のメッセージ発表者・菅野秀一郎さん:
ここ高田松原より、世界中の皆さまの温かいご支援に対し、改めて深く感謝申し上げます
会場では、全国に向け復興への感謝の思いが伝えられました。
感謝のメッセージ発表者・菅野秀一郎さん:
家族亡くしてるし、仲間も友人も亡くしているから割り切れない部分はある。天皇皇后両陛下、皇室のみなさんには被災地を元気づけていただいたので、これからも大切な存在であり続けていただきたい
天皇皇后両陛下が臨席された全国植樹祭。最後は、盛岡市出身の歌手・佐藤千亜紀さんが大会テーマソングを歌い締めくくりました。
佐藤千亜紀さん:
自然のなかで風を感じながらこの空気の中で聞くと、よりいいなと感じる部分があって、そこがとても良かった
式典のアシスタントを務めた高田高校の生徒:
とても楽しくできて、周りの方も優しく接してくれて、とてもいい植樹祭を迎えることができた
この日、天皇皇后両陛下がお気持ちを込めて植えた木は、岩手を育む森林、そして復興の象徴として市民に希望を届けます。
(岩手めんこいテレビ)