日本を代表する建築家・隈研吾さんが手掛けた日本初のホテルが、愛媛・西条市にオープンした。キーワードは「ゼロエネルギー」。一体どんなホテルなのだろうか。
世界が注目する“ゼロエネルギーホテル”
愛媛・西条市の「いとまち」に新しくオープンしたのは、地上2階建てで、57の客室を備える「ITOMACHI HOTEL 0」。
テレビ愛媛・正本健太アナウンサー:
愛媛・西条市にある「いとまち」に来ています。「いとまち」には、3年前にオープンした地元の野菜などが販売されているマルシェの建物、そして芝生の広がる先には、石鎚山系をバックにユニークな建物があります。新しくオープンするホテルなんです
「ITOMACHI HOTEL 0」を手掛けたのは、国立競技場の設計に携わった日本を代表する建築家・隈研吾さん。
隈さんがこのホテルで表現するのは、西条の自然と融合した建築美。建物をつなぐ印象的な大きな屋根は、石鎚山の山並みを表現している。中庭には、西条の地下水「うちぬき」の噴水が豊かな水をたたえている。
そしてこのホテル、実は「使用する全ての電気エネルギーを脱炭素の先端技術で100%まかなう」日本初のホテルだ。
ホテルを運営する「GOOD TIME」・明山淳也社長:
使うエネルギーが100あるとしたら、50%にして省エネルギーにする必要があって、半分になったエネルギーを作りましょうと。今回、屋根のソーラーパネルでエネルギーを作っているんですが、半分に省エネした50%分を作ることによって、ここで実質的に電力を消費してないということで、“ゼロエネルギーホテル”になってます
このプロジェクトを発表した2017年1月、隈さんも「世界が注目するホテル」と語っていた。
建築家・隈研吾さん:
これは世界のまちづくりの中でも画期的な、世界中が注目するような、新しい考え方がいろいろ込められております
太陽光パネルは一般家庭の90倍
構想から7年。「いとまち」は、太陽光発電など脱炭素システムの開発を進める西条市の企業「アドバンテック」が隈研吾さんとタッグを組み、脱炭素の最新技術と西条の豊かな自然、そして洗練された建築物を融合した「まちづくりプロジェクト」だ。
3年前には、マルシェとレストランがオープン。マルシェとホテルの屋根に備えた太陽光パネルは、あわせて最大440Kwを発電し、一般家庭の太陽光発電の90倍にあたる。太陽光パネルに大容量の蓄電池を合わせて、施設で使う全てのエネルギーをまかなう。
「アドバンテック」サステナブル事業部・星川正幹課長:
2050年の世界が目指すカーボンゼロ世界で、この町はいち早くカーボンゼロに取り組んでいる町という所を実感していただきたいと思います
「いとまちに泊まる」感覚で
地球に優しい日本初の「ゼロエネルギーホテル」を訪れたテレビ愛媛・正本アナウンサーが印象的だったのは、全体を包む色合いだという。
テレビ愛媛・正本健太アナウンサー:
どちらかと言えばシックな雰囲気、落ち着いた色味を感じた
ホテルを運営する「GOOD TIME」・明山淳也社長:
実は西条には、伊予の青石というのがあってですね。この青石の色からインスパイアを受けて構成されているので、ひょっとしたら落ち着いた雰囲気を感じていただけたのかもしれませんね
早速、気になるホテルの部屋を案内してもらうと・・・。
テレビ愛媛・正本健太アナウンサー:
これさっき言ってた青石の色がふんだんに使われて…
ホテルを運営する「GOOD TIME」・明山淳也社長:
青石の色味をモチーフにしたデザインになってまして、西日が入ってきて幻想的な青石から来ているイメージを感じていただける空間になっています
西条の「うちぬき」をイメージさせる演出も。
テレビ愛媛・正本健太アナウンサー:
おー、水が出てきた。ほんと「うちぬき」みたいですね
ホテルを運営する「GOOD TIME」・明山淳也社長:
そう言っていただくとうれしいです
さらに愛媛といえば、外国人観光客にも人気の「サイクルツーリズム」。
テレビ愛媛・正本健太アナウンサー:
おっ、自転車を置いていますけども
ホテルを運営する「GOOD TIME」・明山淳也社長:
こちらは自転車をそのまま持ち込める部屋となっています
また、露天風呂付きのワンランク上のプライベート空間ヴィラが7部屋ある他、研修やパーティーなどに使えるキッチン付きのコワーキングルームなど、観光やビジネスにとどまらない様々な使い方ができるようになっている。
ホテルを運営する「GOOD TIME」・明山淳也社長:
このホテル自体も「いとまちに泊まる」という感覚で使っていただきたいホテルだと思ってる。ちょっと朝起きて時間があったら、ご飯を買いにマルシェに行っていただいたりとか、町全体を楽しんでいただけたらすごいうれしい。西条にお住まいの方でも、このホテルにお越しいただきたいですし、海外の方もぜひ来ていただいて西条・愛媛の良さを知ってもらえたらいいなと思っています
(テレビ愛媛)