富山・黒部市が拠点のバレーボールV1リーグ「KUROBEアクアフェアリーズ」の選手から、今年の春、富山県内の高校教師となった女性がいる。元プロチームのバレーボーラーは、どんな熱血先生になっているのか。授業や部活での指導に密着した。

「生きてきて感じたことを伝えたい」

高橋麻友香さん(「高」ははしごだか)は、富山・射水(いみず)市にある富山県立小杉高校に2023年4月から勤務する29歳の新人教師だ。

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高橋さんは、KUROBEアクアフェアリーズに所属していた元バレーボール選手で、チームの副キャプテンも務めた。
担当教科は保健体育。テーマを身近に感じてもらおうと、自身の経験も交えて授業を行う。この日の授業のテーマ「結婚生活と健康」では、生徒に向けてこう語った。

小杉高校教諭・高橋麻友香さん:
先生も結婚して1年もたってないですが「なんでこの人と結婚したんやろ」と思うことも多々あります。が、そんなことばかりじゃないので。一生一緒に生きていけるな、生きていきたいなと思える人を大切に、結婚を見極めてほしいなと思います

高橋さんは、授業では「生きてきて感じたことを伝えたい」と語ってくれた。

小杉高校教諭・高橋麻友香さん:
正しいか間違っているか分からないが、経験を伝えたいと思っている

教師の夢の原点は中学時代の恩師

高橋さんは富山大学在学中の2016年から4年間、プロバレーボールチーム、KUROBEアクアフェアリーズに選手として所属。

ポジションはセッターで、攻撃の組み立てを担った。

身長162cmとバレーボール選手としては小柄だったが、磨き上げた瞬時の状況判断で相手ブロッカーに的を絞らせないセットアップを展開した。

現役を引退後も広報スタッフとして2年間アクアフェアリーズに所属し、裏方としてチームを支えた。そして2022年5月に退団し、富山県の教員採用試験に合格した。

小杉高校教諭・高橋麻友香さん:
もともと中学校のときに先生にあこがれて。教師になろうと思ったきっかけは中学校の先生にあこがれたこと

高橋さんは大阪府出身。バレーボールを始めた中学時代の部活動の顧問の存在が、プロの選手になるという夢をかなえた自分の原点だと言う。

小杉高校教諭・高橋麻友香さん:
バレーボールの魅力を教えてくれたのもその先生で。バレーボールに熱中させてくれたきっかけを作ってくれた。仲間の大切さを教えてくれた

高校ではセッターとしてチームを全国3位に導き注目を集めたが「いつかはバレーの魅力を教えてくれた中学の恩師のような教師になりたい」という思いを持ち続け、大学時代に教員免許を取得した。

プロ選手として培った経験を次世代へ

黒部市から射水市まで通勤し、2年生の副担任として他の教師のサポートをしながら、授業の準備に追われる毎日だ。

忙しい日々の中でも特に力が入るのは、顧問を務める女子バレーボール部の指導だ。3年生最後の大会、高校総体が迫っている。
「どんなプレーにも意図をもちなさい」というのが、中学時代の恩師の教えだった。自身が指導する際も、生徒たちに考えを持ってプレーすることを促し、戦術について意見を聞く。

小杉高校教諭・高橋麻友香さん:
基本的には1回生徒たちに考えさせて、その意見を聞いて、少しアドバイスをする。私が言うことは簡単だが、自分たちで考える力をつけてほしくて

1年生の部員:
ほぼ友達みたいな感覚で気軽に話せるので、分からないところを聞きやすい

2年生の部員:
自分たちのことを考えてくれて、優しい先生です

キャプテン 3年生・橋本恋花さん:
高橋さんの指導で誰かからの指示を待つのではなく、自分たちでどこにボールを落とせば勝てるかとか、チームのみんなで話し合って、コミュニケーションをとるのが大事だなと思った

小杉高校教諭・高橋麻友香さん:
バレーボールの魅力は「6人でボールをつなぐ」。次の人への思いやりや、誰かが失敗したのをカバーしたりとか、誰かが誰かのためにという気持ちを持ってプレーすると全然違う。それは社会に出ても、どんな場面でも大事になってくると思う。授業や部活の中で、わたしが教えてもらったような仲間の大切さ、協力して一生懸命がんばることの大切さを教えていきたい

厳しいプロスポーツの世界で培った知識や経験など、自身が教わったことを子どもたちに受け継ぐセカンドキャリアが始まっている。

(富山テレビ)

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