日本大学の末冨芳教授らは5月24日、文科省で会見を行い、スクールソーシャルワーカーの正規雇用による常勤化を訴えた。

教員不足が深刻化するなか、不登校児童が増え続けるなど学校が抱える課題は増えている。教授らは会見で「スクールソーシャルワーカーの拡大によって不登校などの課題を予防するだけではなく、先生の負担軽減に繋がる」と強調した。

スクールソーシャルワーカーとは?

スクールソーシャルワーカーは、国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士が基本とされている。仕事内容は、問題を抱える児童生徒への支援だけではなく、関係機関との連携・調整、保護者や教員への支援、学校内におけるチーム体制の構築なども含まれる。

現状、35%の都道府県・政令都市などにおいて、スクールソーシャルワーカーの配置は、1校につき週1時間未満に留まっているという。日本ソーシャルワーク教育学校連盟によると、社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験を受験する学生の大多数が正規雇用を希望しているが、スクールソーシャルワーカーの94%が非正規雇用である実態が就労に結びついていないという。

教員の負担軽減へ

文部科学省によると、2021年度に精神疾患により病気休職した公立の小中高校、特別支援学校などの教職員数は、過去最多の5897人だった。教員が強いストレスを感じる要因として「生徒指導」や「保護者への対応」が挙げられているという。NPO法人スクールボイスプロジェクトの調査によると、90%以上の教員が「スクールソーシャルワーカーの拡大によって、精神的な負担軽減に繋がる」と答えているという。

また、日本大学の末冨教授は会見で「子どもが暴言を吐いたときに、学校の先生は指導しなきゃとなるが、スクールソーシャルワーカーは、この子はなぜ暴言を吐くのかなという違うアプローチがとれる」とし、福祉職は子どもを取り巻く世界を見ながら一緒に寄り添い、行動していくことができる専門職であると強調した。

(フジテレビ社会部・文科省担当 林英美)

社会部
社会部

今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。

林英美
林英美

社会部文部科学省担当。警視庁捜査一課担当、サブキャップを歴任。