家族のために母親が作る、他の食べ物にそっくりなお弁当がInstagramに投稿されている。
炒めたカボチャやニンジンの和え物が並んだお弁当。おいしそうではあるが、なぜか焼いた“タマネギ”が中央にドーンと4つ、弁当箱に広がっている。
ここまでくると「昨日けんかをした？」と思うかもしれないが、ご安心を。実は本物のタマネギは1つだけで、あとの3つは豚肉を巻いたおかずで、タマネギに見せかけているのだ。
調理中の様子を見ると、薄めの豚肉と焼売の皮を重ねて巻いて、輪切りにしてから焼くことで、タマネギの断面っぽさを演出している。
続いてはこちらの「目玉焼き」弁当。ハンバーグをフライパンの形にして焼いて、色が異なる2種類のチーズを乗せることで目玉焼きっぽく見せている。
こうしたお弁当を投稿しているのは、2児の母・よっしーさん（@genkinoki_bento）。見た目と中身が異なる「見せかけて弁当」として、家族にときどき作っているという。
きっかけは自身の「エビアレルギー」
遊び心あるものばかりだが、なぜ作り始めたのだろう。おいしそうだが、見せかける“擬態”と味とを両立させるコツはあるのだろうか。よっしーさんに聞いた。
――見せかけて弁当はなぜ、作り始めた？
エビアレルギーの私がエビが食べたくて、似たものをお弁当に入れたことがきっかけです。初めて作ったのが、2021年夏の「海老の天ぷら弁当」です。平日はほぼ毎日、家族のお弁当を作っているのですが、アイデアを思いついたときや家族からリクエストがあると、見せかけて弁当になります。
――アイデアはどこから生まれる？
スーパーで食材を見ているときやテレビを見ているときなど、日常生活で目に入ったものを色や形から連想していくと、思いつくことが多いです。
具材の色や形から連想ゲームで考える
――食材を擬態させるためのコツを教えて。
具材は、白米や白玉粉やクレープなど色や形を変えやすいものをよく使い、それに合う具材を組み合わせます。味覚の固定観念から少し離れて、色や形で連想ゲームのように考えると思いつくことが多いです。分量や調理法はあまり決めておらず、手探りで実験のような感覚でワクワク作っています。
――お気に入りの見せかけて弁当を教えて。
本物のたまねぎと、たまねぎに見せかけた豚肉巻きの両方をお弁当に入れた「たまねぎ？弁当」です。家族は、蓋をあけた瞬間に「たまねぎばっかりのお弁当？」とびっくりしたそうです。豚肉巻きは、豚肉を焼売の皮でクルクルと長く巻いて、焼肉のたれで味付けしていて、食感も良くて美味しいのでよくリクエストされます。
――お弁当について家族はどんな反応をしている？
面白い！と絶賛してくれます。学校や職場から帰ると、感想や周りの反応なども教えてくれるので楽しみになっています。基本的にネタバレはしておらず、特に新作のときは、家族に見られないように細心の注意を払ってコソコソ作っています（笑）
正体が分かっても「おいしそう！」と思えるものを
――見せかけて弁当を作る上で、心がけていることは？
思わずクスっと笑えるユーモアだけでなく、お弁当の蓋をあけた瞬間も、正体がわかったあとも家族が「おいしそう！」と思えるものを作るようにしています。家族の要望も聞いて、ボリュームのあるお弁当を作るようにもしています。
――見せかけて弁当に関連して、思うことはある？
最近は週末につくりおきするようになり、冷凍保存できるものや工夫したおかずを考えることも楽しくなってきました。大変とかめんどくさいというマイナスな気持ちではなく、家族の「今日も1日頑張ろう！」に繋がるような、明るい気持ちで楽しく作ったお弁当を毎日持たせてあげたいと思います。
家族を驚かせたい、おいしく食べてもらいたい。見せかけて弁当にはそんな愛がつまっていた。
