5月16日夜、宮城県栗原市の東北自動車道で、停車中のバスにトラックが追突し、4人が死傷した事故。原因究明が求められる中、事故直前、現場付近で停車しているバスを目撃したというトラック運転手から話を聞くことができた。男性は走るバスを見て「違和感」を感じたという。

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「すごいスピードで…」バス目撃したドライバー

16日午後8時過ぎ。宮城・岩手の県境近くの東北自動車道で起きた事故。道路脇に停車していたバスに、後ろから走ってきた大型トラックが追突した。この事故で、バスを運転していた、仙台市内のタクシー会社社長・佐藤恵美さん(56)と、バスに乗っていたネパール人留学生2人の合わせて3人が死亡。トラックの運転手が頭に重傷を負った。

事故直前にバスを目撃したトラック運転手の男性:
「事故現場の3.4キロ手前で左側の走行車線を走っていたら、追い越し車線をバスが、ものすごいスピードで抜いていった。その時点でバス後方のエンジンルームやマフラーから、黒い煙が結構上がっていたんです。すごい勢いでした」

こう話すのは、事故が起きた同時刻、同じ東北自動車道下り線をトラックで走っていたという男性。バスは「100キロ近い速度は出ていたのではないか」と話す。そして、追い抜かれた数分後、停車していたバスを目撃。手前で車線を変更し、追い抜いたという。

男性によると、停車していたバスは、ハザードランプとテールランプが点いていた一方、三角表示板の設置や、発煙筒を焚くといった様子は見られなかったという。さらに、興味深い話をしてくれた。

バスは「走行車線にはみ出て」停車?

事故直前にバスを目撃したトラック運転手の男性:
「バスは路肩…路側帯にとまっていたんですが、走行車線、本線の方にも半分…。もしかしたら、半分以上はみ出ていたかもしれない。手前で『まずい』と思って、追い越し車線に入りました」

バスが車線に大きくはみ出す形で停車していたというのだ。じつは、バスに乗っていたネパールからの留学生も、取材に対し似たようなことを話していた。

バスに乗っていたネパール人留学生へのインタビュー
Q:バスから煙が出て、『バスを止めてください』と言った人がいましたか?
「ない、ない。バスは勝手に止まりました」
Q:走行中に徐々にスピードが落ちて止まったのですか?
「はい」
Q:バスの位置は?
私が見たときは車線の真ん中でした。バスは勝手に止まったので…

エンジントラブルで停車したとみられているバス。「当時、辺りは暗かった」と前置きしながらも、留学生は「バスが車線にはみ出る形で止まっていた」と証言していた。

停車後、バスに乗っていた人は全員外にいたとされ、亡くなった3人は、バスの後方を確認しに行ったところ、後ろから来たトラックにはねられた。
停車中のバスを目撃した男性ドライバーも「バスの前後左右に乗客の人影があった」と話している。バスが、走行車線に大きくはみ出る形で停車していたのだとすると、その周りにいる人たちは、危険な状況であったことは間違いないだろう。

ドライバーが感じた「違和感」

一方、30年のドライバー歴があるというバスを目撃した男性。バスに追い抜かれた時から、このバスに対する「違和感」を感じていたという。

事故直前にバスを目撃したトラック運転手の男性:
「自分のトラックを追い抜いてもずっと追い越し車線を走って、左側(走行車線)に戻らなかった。また、事故が起きた一帯はカーブが緩やかに続くので、トラックですら、90キロくらいで走るのも怖いくらい。あのタイプのバスでそんなに飛ばすことはないと思います。追い抜かれたときに、すごく急いでいる感じがしたんです。何かに遅れないように、時間に追われて走っているような…

語学留学生40人を乗せ、走っていたバスに何があったのか。停車したバスは、車線に大きくはみ出していたのか。事故の原因究明が求められている。

(仙台放送)

仙台放送
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