広島の原爆資料館に展示されている写真「焼け跡に立つ少女」をモデルにした朗読劇が上演された。G7広島サミットにあわせて、朗読劇で平和の尊さを訴えるものだが、脚本を読んだ女優の吉永小百合さんが応援のメッセージを寄せた。

吉永小百合さん「脚本を読んで胸が熱く…」

五十川裕明記者:
脚本を読んで胸が熱くなりました。世界中で2度と核兵器が使用されないよう私たちも声を出し続けなければと思います

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これは、脚本を読んだ吉永小百合さんのメッセージ。

5月17日、18日の2日間、広島市で朗読劇「蛍火」が上演された。

主人公の少女:
お母ちゃん助けて 動けんよ お母ちゃん

原爆朗読劇「蛍火」
原爆朗読劇「蛍火」

朗読劇「蛍火」は、心の「和解」をテーマに、原爆で右手に深いやけどを負った少女が、戦後、1人のアメリカ兵と出会い、敵対心が消え「相手を理解する」大切さに気づいていく物語。

舞台には、臨場感あふれる朗読者たちの声とともに、原爆の絵がモニター画面に投影された。

舞台のモニターには「原爆の絵」
舞台のモニターには「原爆の絵」

五十川記者:
「蛍火」の主人公は原爆投下から3日後に撮影され、原爆資料館に展示されている写真「焼け跡に立つ少女」がモデルになっている。

広島原爆資料館
広島原爆資料館

5年前、この少女が当時10歳だった藤井幸子(ゆきこ)さんと分かった。藤井さんは1977年に骨髄ガンで42歳の若さで亡くなった。

朗読劇の発起人になったのが息子の藤井哲伸さん。

「焼け跡に立つ少女」の息子が朗読劇を企画

五十川記者:
藤井さん、今回は実に市民が70人以上の力で朗読劇が作られているわけですが、いかがですか

藤井哲伸さん:
企画から4年半かかりましたけれども、多くの方の支援をいただいて、やっと上演にこぎつけたということで、うれしく思っております

五十川記者:
実は藤井さんは高校時代、演劇部だったということで、今回は主人公の右手を治す医師の役として、主人公の心の変化を促していく、メインキャストで出演されるんですね。

稽古風景
稽古風景

五十川記者:
お母様も喜んでいらっしゃるんじゃないですか

藤井哲伸さん:
大変な役どころですけども、頑張って演じたいと思います

五十川記者:
サミットでは各国首脳が原爆資料館を訪れるタイミングでの上演ですが、今回の朗読劇をどう発信していきたいですか

藤井哲伸さん:
サミット直前にやることが、意義あることだと思いますし、広島の力、平和を発信し続けたいと思っております

「2度と核兵器が使用されないよう、私たちも声を出し続けなければ」という吉永さんのメッセージのように、サミットに合わせて、市民の力で平和の尊さを訴えることの重みが今、一層増している。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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