16日夜、宮城県栗原市の東北自動車道で、道路脇に停車していたバスにトラックが追突し、3人が亡くなった事故。バスには40人の外国人留学生が乗っていて、事故発生直前には全員がバスの外にいたという。現場で何があったのか。バスの乗客の外国人留学生に話を聞いた。

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事故直前に止まったバス…乗客が「外」に

バス後部にトラックが追突しているのがわかる
バス後部にトラックが追突しているのがわかる

事故があったのは、宮城県栗原市の東北自動車道下り線。岩手県境からほど近い場所だ。
16日午後8時10分ごろ、道路脇に停車したバスに大型トラックが追突した。現場では懸命な救助活動が日付が変わるまで続き、周辺の区間は9時間以上にわたって通行止めとなった。

懸命な救護活動は夜遅くまで続いた
懸命な救護活動は夜遅くまで続いた

一夜明け、近くの駐車場に移された事故車両。後部のエンジンがむき出しになったバス。トラックの前面は押しつぶされていて、衝撃の大きさを物語っている。

追突されたバス 事故発生当時道路脇に止まっていたとみられている
追突されたバス 事故発生当時道路脇に止まっていたとみられている

この事故で、バスを運転していた、仙台市若林区荒井の会社役員・佐藤恵美さん(56)と、バスの乗客だったネパール人留学生の男性2人が死亡。トラックを運転していた会社員の男性(30)は頭に大けがをした。

バスの乗客は、ネパールやバングラデシュからの語学留学生40人。仙台市内から岩手県一関市にあるアルバイト先に向かっていた。バスはその途中でエンジントラブルで停車していたとみられている。バスに乗っていた、仙台市内の専門学校に通うネパール人留学生は、取材に対し、「事故が起きる前に、バスから黒い煙が上がって乗客全員が車の外に出た」と証言した。

バスに乗っていたネパール人留学生:
「午後8時3分くらいにバスから降りた」
Q:どうして外に出たのですか?
「バスの調子が良くなかったから。黒い煙がいっぱい出て、車が勝手に止まったので、私たちはびっくりして降りた
Q:降りてどこにいたのですか?
「私たちは道路から離れた場所に立っていて、何人かは、煙が出ていたバス後方部分を見に行ったりしていた。5分後くらいに、バスの運転していた女性とネパール人男性2人がバスの後方に行ったところ、車にはねられた

車体から上がった黒い煙。車は徐々にスピードが落ち、停車したという。煙が車内にも入ってきたことから、不安を感じた乗客たちは高速道路の路上に出た。トラックが追突したのは、そのわずか5分後だったとみられる。

バスに追突したトラック
バスに追突したトラック

バスに乗っていたネパール人留学生:
事故の後は、みんな驚いて、女の子たちは泣いていたし、男の子たちは言葉を失っていました。

警察によると、事故現場の路肩の幅は約2.9m。バスの横幅は2.5mほどで、計算上バスは路肩に収まる計算だが、実際どのような形で止まっていたかは不明だという。

「普段のバスと違う」感じた異変

週3回ほどバスに乗って、一関市までアルバイトに行っていたという留学生。事故を起こしたバスは「いつものバスと違っていた」と話す。

ネパールからの留学生:
普段来るバスと、違うバスが16日は来た。運転手もいつもは男性だったが、16日は女性だった。前のバスの方が、少し新しい

2525タクシー株式会社(仙台市宮城野区)
2525タクシー株式会社(仙台市宮城野区)

バスを所有する仙台市内のタクシー会社、「2525タクシー」によると、バスは2022年まで「仙台うみの杜水族館」のシャトルバスとして利用されていたもので、亡くなった運転手の女性は会社の社長だった。バスの前面にはペンギンの画が、側面には水族館名がまだ記載されていた。2525タクシーは「取材には対応できない」としている。

追突したトラックを運転していたのは、青森県青森市に本社を置く運送会社、「八洲陸運」の30歳の男性社員だった。八洲陸運によると、このトラックは16日朝、冷凍食品を仙台市内へ配送するため、青森県八戸市の営業所を出発。配送が終わって八戸市の営業所へ戻っている途中、停車中のバスに追突したものとみられている。

17日午後 2525タクシー株式会社にて
17日午後 2525タクシー株式会社にて

国土交通省は重大な事故として事故調査委員会に調査を要請し、17日、2社を関係事業者とした
調査をスタート。東北運輸局も2社に対して特別監査を行っている。

なぜ、走行中のバスが止まったのか。トラックが追突した原因は。
警察はバスに乗っていた留学生から話を聞くなどして、当時の状況を詳しく調べている。

(仙台放送)

仙台放送
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