開催が迫ったG7広島サミット。車の通行量が少ない深夜にパトカーと白バイが車列を組み、要人警護を想定したとみられる訓練が行われた。また、メイン会場へつながる唯一の道路を封鎖する「入域制限」も始まった。

パトカーと白バイが“深夜の大訓練”

5月14日午後11時20分、暗闇にそびえ立つメイン会場「グランドプリンスホテル広島」。

G7サミットのメイン会場「グランドプリンスホテル広島」
G7サミットのメイン会場「グランドプリンスホテル広島」
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その入り口に目をやると、G7サミットのロゴやカラフルなデザインで飾られ、各国の首脳を迎える新たな装いになっている。

日付が15日に変わり、静まり返る会場周辺に動きが…。

胡子美佳 記者:
メイン会場のホテルへ、パトカー、白バイが続々と向かっていきます

目の前を通り過ぎるいくつもの車列。一時的に交通規制をしながら、本番を想定した動きを確認する“深夜の大訓練”だ。

1つの車列の中に複数の県のパトカーが混ざっていることから、訓練を通してより緊密な連携を確認していると伺える。そして午前1時半、兵庫県警や和歌山県警、黒い覆面のパトカーが続々と高速道路に入っていった。

広島高速へ入るパトカーと白バイの車列
広島高速へ入るパトカーと白バイの車列

訓練は広島市中心部へ移り、真夜中の平和公園でも見られた。どこの国の警護を想定しているのかなどはわからないが、この夜、取材班が見たの中では最も車両数が多く、平和公園内に車がびっしり。まるで、渋滞で動かない車列のようにきれいに並んでいる。

広島市の平和公園内に入る長い車列
広島市の平和公園内に入る長い車列

空港も警戒態勢へ ロッカーの利用中止

“深夜の大訓練”から夜が明け、鈴木記者が広島空港へ向かった。

鈴木崇義 記者:
木製だった空港のゴミ箱がスケルトンに変わっています。中が見えるようになっていますね

広島空港内のゴミ箱を“中が見えるもの”へ
広島空港内のゴミ箱を“中が見えるもの”へ

これまでは県産ヒノキでつくられた木製のゴミ箱23個を空港内に置いていたが、一部を撤去し、利用頻度が高い場所などは“中が見えるもの”に置き換えたという。

置き換える前の木製のゴミ箱
置き換える前の木製のゴミ箱

さらに、広島空港のコインロッカーを利用中止に。

5月18日~22日は展望デッキも封鎖され、空港につながるバスは「JR白市駅」との連絡バスのみになる。

宮島にヘリポート整備

広島の上空からも、サミットの準備が整った街の様子を見ることができる。

加藤雅也 アナウンサー:
G7各国の首脳が訪れる予定の宮島上空です。宮島包ヶ浦自然公園には新たにヘリポートが整備されました

普段はアウトドアレジャーなどを楽しむ海辺の公園に「1、 2…」と大きく番号が表示されたヘリポートができあがっている。

加藤雅也 アナウンサー:
広島市中区の平和公園です。噴水のそばに「G7」が花絵で表現されています。周辺の芝生もきれいに整備され、G7サミット開催の瞬間に向けて着々と準備が進められています。この場所から世界へ平和を発信することができるのでしょうか

上空から見た広島市の平和公園
上空から見た広島市の平和公園

鮮やかな黄色い花で埋め尽くされた「G7」の文字。さらに高い位置からは、川と緑に囲まれた美しい広島の景色を望むことができる。

そして、サミットのメイン会場となる「グランドプリンスホテル広島」付近の上空。

メイン会場がある広島市南区元宇品町(宇品島)
メイン会場がある広島市南区元宇品町(宇品島)

海上では香川県警の船が警戒に当たっている。サミットを間近に控え、警戒態勢がより強まっている。

加藤雅也 アナウンサー:
上空から元宇品町を見ると非常に多くの警察官の姿があります。住民よりも警察官のほうが多いのではないかと感じるほどです

メイン会場への道で「立ち入り制限」

メイン会場のある広島市南区元宇品町は、小さな橋でつながる島(宇品島)。島へ入る唯一の道路をふさげば、まわりは海に囲まれる。5月15日、サミットのメイン会場につながる道を封鎖する「入域制限」が始まった。地元の住民と関係者以外は立ち入ることができない。

警察:
ロックダウン!

午後3時、勇ましい声とともに立ち入りを制限するバリケードが閉じられた。

立ち入りを制限するバリケード
立ち入りを制限するバリケード

また、メイン会場のホテルでもゲートが閉じられ、二重三重のセキュリティが整った。

五十川裕明 記者:
こうしたゲートがメイン会場まで少なくとも4つありまして、まさに厳戒態勢がとられています

地元の住民が出入りするには緑色の「識別証」が必要だ。歩行者と自転車に分かれ、金属探知機が置かれた建物で保安検査を受けなければならない。検査後、一人一人に警備員が付き添って島の中へ入る。

通行人の保安検査が行われるコンテナ型の建物
通行人の保安検査が行われるコンテナ型の建物

保安検査を終えた住民からは「1分ほどで通ることができた。思いのほかスムーズで良かった」という声が聞かれた。
一方で、車両の通行には時間がかかるようだ。車の保安検査が行われている大きな白いテントでは、警備員が1台当たり数分かけて、警備犬も出動し不審物がないか入念にチェックしている。

G7広島サミット開催に向けた準備は、各地で“最終段階”に突入した。厳戒態勢MAXで、その瞬間を迎えるカウントダウンが始まっている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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