ウクライナ東部では、イギリスから供与されたばかりの巡航ミサイルがさっそく使用されたと報じられるなど、本格的な反転攻勢が迫りつつあるようだ。映像から最新情勢を検証する。

軍事パレードに「T-34」1台のみ 理由は…
5月9日にモスクワで行われたロシア軍による対ドイツ戦勝記念日パレード。

例年は参加する戦車は数十両になるが、ウクライナへの軍事侵攻を続けるなかで行われた今回のパレードでは、第2次世界大戦末期に活躍したT-34戦車、1両のみだった。

侵攻前の2021年と比べて6割近くの戦車を失ったとはいえ、異例の事態だ。

イギリス国防省は、ロシアがT-34以外の参加を避けたことについて、「おそらく、国内から軍事作戦よりもパレードを優先するのかという批判を避けたかったのだろう」と分析している。

ロシアのショイグ国防相は、パレードを前に、ずらりと並ぶロシアの新鋭主力戦車T-80BVMの部隊を視察した。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
ロシアには、世界に先駆けて実現した、戦車の上部の砲塔部分に乗員を搭乗させない砲塔無人化戦車、T-14があり、2022年まではパレードに参加していました。今回のパレードには姿を見せなかったため、いよいよウクライナに投入されるとの見方が広がっています。
「キンジャール」を「パトリオット」が撃墜
また、ウクライナに4月に引き渡されたばかりのパトリオット地上配備型迎撃ミサイルシステムに向けて、ロシアは極超音速空中発射弾道ミサイル「キンジャール」を発射したと報じられている。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
キンジャールは、複雑に機動しながらマッハ10という極超音速で飛ぶ、いうなれば変化する豪速球のようなミサイルです。去年にも今年3月にも発射されていましたが、撃墜されたことはなく、プーチン政権としては、戦勝記念パレードの前に更なる成果をあげる狙いがあったのかもしれません。

しかし、ウクライナ軍は、発射されたキンジャールをパトリオットがキーウ近郊で撃墜したと発表。アメリカ国防省も追認した。

回収されたキンジャールの弾頭の残骸らしきモノには、横から何かが衝突して出来たとみられる穴が空いていた。

“標的に直撃するミサイル”というのは、自衛隊にも配備されているPAC-3ミサイルなどの特徴の一つだ。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
かつて、プーチン大統領が「あらゆる防空システムを突破する」としていたキンジャールの撃墜。核弾頭の搭載が可能なうえ2000㎞とされるキンジャールの射程内に日本が入る可能性も否定できません。今回の迎撃を日本も注視していくことになるでしょう。

ただ、PAC-3ミサイルが防御できるのは20~30kmの範囲に限られるため、防衛装備庁は、さらに広く防御する新たな迎撃システム構想を練っており、日本の安全保障問題にも直結するかもしれない。

(「イット!」5月14日放送より)
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