倒れた男性の異変を察知し、吠えて周りの人に知らせて救命に貢献。その行動を讃え、消防署から感謝状を贈られた犬が話題になっている。
この記事の画像(7枚)感謝状を受け取ったのは、千葉市にある乗馬クラブ「千葉ライディングパーク」の小梅ちゃん。看板犬として飼われている5歳のメスの雑種だ。
見事な連携でスタッフと共に感謝状
2月25日、乗馬クラブの男性客が駐車場で倒れ、心肺停止状態になったという。その時、男性のそばにいた小梅ちゃんが吠える声を聞いたスタッフ3人と乗馬クラブの客2人が駆けつけて119番に通報。救急車が到着するまでの間、AEDで応急処置をした。
男性は救急搬送された後、病院で意識を取り戻し、その後、後遺症もなく回復し、現在は乗馬クラブにも復帰しているという。普段は全然吠えない小梅ちゃんが吠えたことで異変に気づくことができたそうだ。
一連の応急処置を適切に行ったとして、千葉市若葉消防署は4月20日、乗馬クラブと処置に携わったスタッフ3人と客2人、そして小梅ちゃんに感謝状を贈った。
千葉ライディングパークが、感謝状とともに写真に収まる小梅ちゃんの姿をツイッターに投稿すると、「凄いわんこですね とても誇らしげでカッコいいです」「お利口過ぎます」と、賞賛のリプライが寄せられていた。
それにしてもなぜ、小梅ちゃんはそんな行動をとることができたのだろうか。普段はどんな看板犬なのだろうか。千葉ライディングパークのスタッフに聞いた。
長いリードにつながれていて、駐車場まで男性について行った
――男性が倒れた時の状況を教えて。
小梅の声が聞こえたので、みんな駆け寄って行きました。119番にかけ、消防の司令室の方に言われたことを(その場にいた)スタッフに伝え、指示に従って処置しました。救急車が到着するまでおそらく15分くらいだったでしょうか。
――どういう状況で小梅ちゃんは男性について行ったの?
倒れたお客様はご夫婦で来られていました。馬に乗り終わったあとでご夫婦で馬の手入れをされていた最中に、旦那様が気分が悪くなられたということで、奥様が「ちょっと車で休んでいたら」と声をかけたそうです。そして(男性が一人で)車に向かって行き、着いた時に倒れられたようです。
小梅は長いリードにつながれていて、駐車場のほうまで行けるようになっているので、一緒に(男性の)後ろをついて行った感じです。
――男性が倒れてすぐに吠えだしたの?
監視カメラを後で見たところ、倒れてからすぐ吠えたわけではなくて、最初は匂いを嗅いだり、一緒に座ったり、横に寄り添っていたんですけど、そのちょっと後に何か異変を感じたのか、吠え始めたようです。
――なぜ、男性について行った?
人のことが好きなので。(その男性にも)普段からかわいがっていただいていたので、もしかしたら「おやつをくれないかな」という期待もあったかもしれないです。けれど「かまってほしいなあ」と思ってついて行ったのだと思います。
吠えるのは異変があった時だけ
――小梅ちゃんの声を聞いてすぐに異常があったと思った?
そうですね。普段は全然吠えない子なので。小梅が吠える時はだいたい、馬が逃げそうになった時とか暴れたり興奮している時など、何か馬に異常がある時。あとは不審な人が来た時。
好きな人が来たら歓迎の感じでクンクン言いますが、ワンッと吠える時は何か異常があった時だというのが私たちスタッフの認識です。
――何か特別なトレーニングはしている?
していません。(1年ほど一緒に暮らしていた先代の看板犬の)梅がやっていたことを同じようにやっています。
――感謝状をもらった時はどんな様子だった?
とくに…興味は示していなかったですね(笑)。食べられるものではないので。
――ご褒美はあげた?
おやつはあげました。倒れたお客様が復帰された後にももらっていました。でも多分、それがご褒美だとはわかっていなかったと思います(笑)。普通におやつをもらったと思って喜んではいたと思いますが。
スタッフの話では、小梅ちゃんはしばらく状況を確かめてから異変を察知し吠えたそうで頼もしい限りだ。これからも乗馬クラブの看板犬として元気でお客さんを迎えてほしい。