最大震度6強が襲った石川県珠洲市。多くの家屋が被害を被った中、地震からわずか4日後、一部の飲食店が営業を再開した。その中には倒壊した自宅から救出された女性も…。復興に向け歩み出した店主の思いに迫った。

「食べて飲んで元気になってもらいたい」市民の憩いの場が営業再開

珠洲市飯田町にある、ろばた焼「あさ井」

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珠洲市に40年以上店を構える市民の憩いの場だ。

お客:
美味い!
ろばた焼・あさ井 浅井誠代表:
ちょっとホッとしましたね。日常が戻りはじめてきたのかなという。

2023年5月5日。珠洲市を襲った震度6強の強い揺れで、店内はグラスが床に落ちて粉々になるなど、足の踏み場もない状況だった。

地震からまだ4日しかたっていない中、浅井さんは店を開ける決意をした。

お客:
よく来るので今どうなっているのかなというのも含めて今日来た感じ。変わらず美味しいので、また引き続き通いたい。

浅井代表:
もう揺れるのは仕方ないのでお客様とスタッフの安全を優先しながら商売をやっていくという。少しでも食べて飲んで元気になってくれる人がいてくれたらなとい気持ち。

九死に一生を得た名物ママも被災から4日後に営業再開

特別な思いで営業を再開したラウンジがある。

店のシャッターが開けられると、常連客がこの店のママと抱き合った。

ここは珠洲市の名物スナック。夫婦で店を構えて35年。常連客を笑顔で出迎えるのは西村信子さんだ。

常連客:
乾杯!無事おめでとうございます。

実は西村さん…

カメラマン:
女性が救急車に運ばれています。

震度6強の地震で自宅が倒壊。

1階部分が潰れた家に閉じ込められ、消防によって救出された女性。それが西村さんだ。

 

西村信子さん(7日取材時):
外から「誰かおるか?」って言われてそれに答えて。奇跡としか言いようがない、あの家を見たら。

全壊した住宅に閉じ込められたが、西村さんは奇跡的に無傷だった。

夫の一雄さん:
きのう瓶の整理をしていて1本落として割って、これが地震。

所々に震災の爪痕は残っているが、常連客が次々に訪れる。

常連客:
遅くしかやっていないんですよこの辺でも。ママはどんなお客さんでも酔っぱらってもちゃんと対応してくれる、楽しいところですね。

中には…

常連客:
やっと顔見て直接話せてすごく安心して…元気な姿見られてよかった。

記者:
いつからの知り合いですか?
信子さん:
もう生まれた時から。
常連客:
0歳…30年?このケーキはママと食べようと思って。
信子さん:
この娘が一番食べるから。

まだ地震が相次いでいる珠洲。それでも、この店に来れば笑顔があふれる。

一雄さん:
ありがたいです、開けてよかった。

信子さん:
こうやって駆けつけてくれるお客さんがいるのは本当に幸せ。この仕事していてよかった。「生きとったよ~」ってそんな感じ。

珠洲は復興に向け、着実に歩みを進めている。

(石川テレビ)

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