11日午前4時16分ごろに発生した千葉県南部を震源とする地震。

木更津市で震度5強、君津市で震度5弱を観測したほか、東京都心や横浜市でも震度4を観測するなど、関東の広い範囲が揺れた。

今回の地震で注意すべきことは何か。
余震の規模や今後の備えについて、東京大学地震研究所の青木陽介准教授に聞いた。

3日間~1週間は余震に注意

ーー今回の地震の原因とメカニズムは?
千葉県の南部は非常に複雑な地下構造になっていて、フィリピン海プレートが南から沈み込み、その下に太平洋プレートが東から沈み込んでいます。

今回は、フィリピン海プレートが沈み込み、さらに下にある太平洋プレートにぶつかる辺りの場所で地震が起きました。

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フィリピン海プレートが太平洋プレートにぶつかって、プレートが大きく変形して曲がった部分がポキッと割れたという感じです。

例えるなら、歪んだ下敷きが折れたような状況です。

東京大学地震研究所 地球観測系研究部門・青木陽介准教授
東京大学地震研究所 地球観測系研究部門・青木陽介准教授

ーーマグニチュード5.2は大きい?
大きい地震ではありますが、ものすごく大きいというわけではないです。

例えば、先日の石川県能登地方の地震と比べると、かなり小さな地震になります。

震源の深さは約40キロで、震源が深いということは、直上でも震源からの距離が長くなるので浅い地震と比べると揺れはそれほどではありません。

ただ、震源が深いということは、より広い範囲で揺れが観測されることになります。

大きな地震が起きると、余震も大きくなり、期間も長くなります。
今回はマグニチュード5.2なので、これまでの経験から、だいたい1週間くらい余震が続くだろうという見立てになっています。

例えば、東日本大震災のようにマグニチュード9だと、余震は100年とかの単位になりますが、今回は1週間ほどです。

大地震の予兆ではない

今回の震源地は房総半島の真下。
列島で相次ぐ地震に不安が広がる中、青木准教授は「大地震に繋がる可能性は低い」と指摘する。

ーー千葉県南部は地震が起きやすい場所?
千葉県は非常に地震活動が盛んなところです。

千葉県南部は、千葉県北西部に比べたら地震の数は少ないですが、フィリピン海プレートと太平洋プレートが入り組んでいる複雑な地下構造になっているので、地震活動はそれなりに高く、過去にも同じように大きな地震が発生しています。

ーー今後の注意点は?
マグニチュード5.2の地震が発生したので、おそらく余震は1週間くらい続いて、その中には本震と同じような揺れをもたらすような地震も発生する可能性があります。

また、週末から週明けにかけて天気が悪くなることが予想されていますが、地震で地盤が緩んでいるところも多くあるため、崖崩れや地滑りなどの注意が必要です。

地震はいつ起こるかわかりませんが、地震発生から3日間~1週間くらいはそれなりに強い揺れを伴う地震が起きる可能性があるので、慌てないためにも、今のうちに避難に必要な道具や水、食べ物などを確保していただきたいと思います。

5月に起きた震度3以上の地震
5月に起きた震度3以上の地震

ーー能登、千葉、鹿児島など地震が続くが、大地震の予兆?
基本的にそれはないです。

確かに最近地震は多いですが、それは偶然というか、たまたまいろいろなところで地震が重なっているだけで、大きな地震の予兆ということではありません。

ただ、いつ発生してもおかしくないので、準備を怠らないことは一般的な意味で重要です。