中国では経済低迷のなかで、高級ホテルの一流シェフが路上で料理を作る屋台販売を行うケースが相次いでいる。消費者の節約志向や当局の倹約令などが原因とみられるが、経済低迷は若者の就職難など幅広く影響を及ぼしている。専門家は日本経済への影響の可能性も指摘する。
高級ホテルの路上で一流シェフが屋台に
「大きな肉団子」に「鶏の丸焼き」など高級ホテルの一流シェフが自慢の料理を振る舞っているのはまさかの屋台だ。

近藤雄大記者:
こちら北京にある高級ホテルなんですが、ホテルのシェフが路上に出て屋台を運営しています 。
並ぶのは本格的な料理の数々。その一流の味を求めて、連日多くの人々が訪れにぎわいを見せている。

利用客:
Qなにを買った? 肉まん! Qホテルが屋台をだしていることについて とても便利だね!
一見するとホテルが当たり前のように始めたランチサービスに見えるが、実は中国経済の苦境から生まれた“苦肉の策”だった。
中国・北京にある国営の四つ星ホテル。

取材班が訪れると・・・そこには、白いコック帽をかぶったホテルのシェフが、屋台で料理を作る姿があった。
名物の「鶏の丸焼き」を注文してみると・・・
近藤雄大記者:
ホテルのコックがその場でカットして、調理してくれています。
その場で手際よくカットした肉に特製のタレを絡めてパクチーと唐辛子を加えた絶品の一品。

近藤雄大記者:
ピリ辛でしっかりした味付けで鶏肉のジューシーさもあって非常においしいです。
屋台への進出は五つ星ホテル「ペニンシュラ」でも見られた。ホテル前に設けた屋台で、クレープやハムサンドを販売している。
高級ホテルの“屋台販売”の理由…は節約志向の拡大
相次ぐ“ホテル屋台の出現“…なぜ今、高級ホテルが路上販売に乗り出しているのか?
その問いにホテルのシェフはこう答えた。

ホテルのシェフ:
お客さんを呼び寄せるためです。いまはこの形の方が人気。みんな(客)無駄使いをせず、節約志向になっている。
中国では現在“節約志向”の広がりから急激な消費の冷え込みに直面している。

加えて2025年5月には公務員らを対象に「倹約令」を発表し、接待での高級料理や酒、タバコを禁止した。
その動きが一般企業にも広がり、高級ホテルの主要な収入源だった宴会需要が激減したのだ。
さらに、中国経済の低迷は、就職を控える若者にも影響を及ぼしている。

就職イベント参加者:
(応募したのは)少なくとも100社くらい どこからも返事がない。
「私は2025年の新卒です。仕事が見つからない 全く見つかりません」中国のSNSには就職難に対して不満の訴えが投稿され、政府が警戒を強めている。

2025年8月の若年層の失業率は18.9%。現在の集計方法となってから、最悪の水準だ。
“中国経済の低迷”が日本にも影響か
専門家は、この“中国経済の低迷”が、日本にも影響を及ぼす可能性があると指摘する。

第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト:
中国経済が悪くなってるのでデフレで物の値段が下がるから、中国から安い製品が入ってきやすくなるということで、日本のインフレを押し下げる要因として作用する。
そうした中、北京では20日、中国共産党の重要会議「四中全会」がスタート。
内需拡大など今後の経済対策などどう話し合われるか注目だ 。
(「イット!10月20日放送より」)