新幹線での移動中に仕事をする人は多いことだろう。そんな中、JR東海がビジネスパーソン向けの「S Work車両」を、今年10月20日からリニューアルすると発表した。

ロゴマークを付けた「S Work車両」(出典:JR東海)
ロゴマークを付けた「S Work車両」(出典:JR東海)
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「S Work車両」とは、新幹線で仕事をする人の利用を想定した車両のことで、2021年から東海道・山陽新幹線の「のぞみ」7号車に設定されている。

この車両では、座席での携帯電話やWebミーティングの通話が可能で、パソコンの打鍵音など仕事を進めるうえでの最低限の作業音は、「お客様同士相互に許容いただいたうえでご利用ください」と、ビジネスパーソン向けのマナーを守ることが求められる。

逆に、客同士での歓談や座席を回転させることは「快適なワークプレイスとしての環境を維持するため」控えるよう呼びかけている。

新しい「S WorkPシート」が登場

そしてこの秋から「S Work車両」は「ひかり」「こだま」でも運用され、「S WorkPシート」と名付けられた新しい座席が導入されるのだ。

これは、3人掛けの中央部にパーティションを設置した2人用の座席で、パーソナルスペースが広がることで、より快適に仕事ができるという。

(出典:JR東海)
(出典:JR東海)

さらにこの座席では、ノートPCなどが使いやすくなるよう、手元にスライドさせると傾斜する新しいテーブルを設置する。

(出典:JR東海)
(出典:JR東海)

なお現在のS Work車両はネット予約制になっており、この指定席料金に加え、1両あたり10席の「S WorkPシート」には、さらに1200円(暫定価格)が必要となる。

7号車の座席配置 黄色がS WorkPシート(出典:JR東海)
7号車の座席配置 黄色がS WorkPシート(出典:JR東海)

また「S Work車両」の座席はリクライニング角度を浅くして、背もたれが倒れてきてもノートPCなどを使いやすくしているという。

(出典:JR東海)
(出典:JR東海)

コロナ禍に始まった時は乗車率30%

この新しい座席を導入することになったのは、やはり利用者から広い座席を求める声が出ていたからなのだろうか?また、現在の「S Work車両」の評判や乗車率はどうなのか? JR東海の担当者に聞いた。


――「S WorkPシート」を導入することにしたのはなぜ?

2021年10月に「S Work車両」をご提供した頃から、「混んできて隣席に人がいるとやりづらい仕事もあるかもしれない」と考えておりましたが、実際に「隣席に他のお客さまがいないこと」や「パーティションがあるとよい」といったサービスを期待するお客さまの声をいただいたり、実際のご利用状況を拝見して、今回サービスとしてご提供することとしました。


――「S Work車両」はどのくらい好評なの?

「S Work車両」はコロナ禍の2021年10月に運行を開始し、当初は約30%であった乗車率も直近では60%を超え、東海道・山陽新幹線のサービスとして定着したと考えています。

一般の普通車指定席の乗車率は、これよりも多いですが、「S Work車両」の数字は、EXサービス(ネット予約)専売のものです。一般の指定席は、駅等でのきっぷや、団体などのきっぷも含んだものであり、その影響を考慮すると、「S Work車両」というサービスは選好されていると考えています。

「S Work車両」の乗車率は、今後のビジネス需要の回復とも相まって、更に向上すると考えています。


――追加料金の1200円という金額はどのように決めたの?

今回のコンセプトでの座席設定は、当社にとってもお客様にとっても初めてですが、普通車指定席の品質を勘案しながら、パーソナルスペースが1.5倍程度に広がっていること等を踏まえつつ、多くのお客様にご利用いただき、新しいサービスに馴染んでいただく観点から、ご利用しやすいお値頃感も考慮した価格設定としました。

「S Work車両」内のドア(出典:JR東海)
「S Work車両」内のドア(出典:JR東海)

「S Work車両」は、最初は約30%であった乗車率も直近では60%を超えたとのことで、ビジネスパーソンの需要をうまく取り込んでいるということだろう。

電車などでPCを使うとき周囲が気になる人もいるだろうが、こんな座席があると、さらに仕事に集中できそうだ。仕事でこの新幹線に乗る人はチェックしてみても良さそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。