台風14号による土砂崩れ被害から2年。宮崎市内海にある日南水産は壊滅的な被害を受けた。
今は亡き夫と守ってきた店をなんとか再開したいー。仲間たちに支えられた再開までの思いを取材した。

の前で発生した土砂崩れ

2021年9月、台風14号の豪雨によって発生した土砂崩れが店の目の前で発生
大量の土砂が線路や道路を飲み込み、店に押し寄せ、海水を汲み上げていたポンプが壊れ、伊勢海老や貝などの生き物は全滅。
さらに、土砂に押された店舗は基礎の部分から被害を受けた。
海のすぐそばで海鮮料理を提供する人気のお店だった。

日南水産を経営する 橋口さゆりさんは、土砂崩れが起きる前に避難し無事だったが、店に戻ってきて目の当たりにしたのは変わり果てた店の姿だった。

日南水産 橋口 さゆりさん:
伊勢エビもなんとか生きていて欲しいなと思ったんですけど、全部ダメでしたね...一匹も駄目でした‥辛いです

愛する夫と守ってきた店

土砂は店に隣接する自宅にも押し寄せたが、橋口さんにとって大切な場所は守られていた。
2015年に病気で他界した橋口さんの夫である健也さんの部屋だ。

日南水産は昭和50年に健也さんの両親が海鮮の販売店として創業。
その後、健也さんが食事も楽しめるようにし、多くのお客さんで賑わう人気店となった。

今は成人している3人の娘もこの場所で育った。
長女の沙耶香さんは生まれ育ったこの場所で店の再開を強く望んでいる。

しかし、店を再開するためには大規模な改修が必要と判明。その経費は5千万円以上。
時間と費用がかかる道のりに橋口さんは閉店も考えた。
そんな橋口さんが再び前を向くきっかけとなった一つが、インターネット上で再開のための寄付金を募るクラウドファンディング。(現在はクラウドファンディングは終了している)
企画したのは亡き夫、健也さんの仲間たちだった。

健也さんの友人  森 美樹さん:
私だけじゃなくて皆さんに対しても橋口ご一家はすごくよくしてくださるので。お客さんに接している時が幸せそうなので、たくさんお客さんが来れるお店に復活して「よかったね」と笑える時が来るのを待つしかないなと思っています

そしてクラウドファンディングで500万円以上が寄せられた。
※現在クラウドファンディングは終了している。

日南水産 橋口 さゆりさん:
主人が後押ししてくれたんじゃないかなって。主人がいなかったらこんな風にはならなかったんじゃないかなって本当に思います 。改めて大好きな人です

日南水産 臨時店舗をオープン

被害から1年が経った2022年9月。
日南水産からほど近い観光施設の一角に土日祝日限定の テイクアウト専門店をオープン
元の場所で再開すると決めているからあくまで"臨時店舗"だと語る橋口さん。

次女の真耶さんは、お客様からのあたたかい言葉に元気づけられる母親の変化にすぐ気づいたそう。

そしてもう一つ、橋口さんの原動力になっているのが、新たな店の設計図。
資金繰りの目処がつき、止まっていた時計の針がようやく動き始めた。

以前から取引があった仲卸業者・西川産業の西川公浩さんは、橋口さん夫婦とは同級生。
再開するときは店舗を小さくする場合でも付き合っていこうと思っていたと話す。
お店の再開後も、伊勢海老や貝類などを卸してもらうことが決まった。

店の再開は4月2日に決定

日南水産 橋口 さゆりさん:
前の店の雰囲気もある中で「こういうところ良くなったね~」とか、「味は変わらないね、おいしいね」という言葉、それが一番ですね
ここまで来るのに私は再建したいという思いしかなくて何もできなかった中で、私たちにとっては神様みたいな方達がいて、幸せ者だなと本当に思っています

あの日からおよそ1年半。
日南水産に賑やかな声が返ってくる。

日南水産(宮崎市内海)
再オープン 4月2日(日)11:00 ~ (食事)
※海を眺めながら味わえる個室有り

(テレビ宮崎)

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