お父さんの足の上でゆったりとくつろぐのは、福井市に住む堂前さん宅のミニチュアダックスフントのオス、幸ちゃん。現在13歳で、人間でいうと70歳ほどの高齢犬だ。幸せそうな表情を見せる幸ちゃんだが、半年前までは“地獄”とも言える環境で命をつないでいた。

“地獄”からの救出

堂前さん宅に来る半年前、幸ちゃんを飼っていた福井の高齢女性が亡くなり、飼い主不在となった。その後、知人の家に預けられたが、その人は犬嫌いだったという。

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35度以上になる真夏でも換気の悪い密閉された倉庫の中で飼育された。下はコンクリートで、足元からも熱気が吹き上がってきた。

見かねた近所の住民が保護ボランティアに連絡。ボランティアが駆け付けた時には、骨が見えるほどガリガリにやせ衰えていた。全身は真っ黒で強い悪臭を放ち、瀕死の状態で、すぐに保護された。

ボランティアはまず身体を洗ったが、汚れが付き過ぎていて素人では手が出せない状態だった。専門店で時間をかけてようやくきれいになり、しっかりと食事を与えること1カ月間。ようやく元気を取り戻した。

これからの幸せを願って…

堂前さん夫婦はこれまで、2匹のミニチュアダックスフントを飼ってきた。最初は「ポロ」、次は「いち」という犬で、すでに2匹とも亡くなっていた。

新しい犬を迎え入れたいと思っていたが、夫婦ともに60歳を過ぎ、体力的にも若い犬は飼えないと思っていた。その時に出会ったのが“同級生”のように年が近い幸ちゃんだった。

過酷な環境で飼育されていた過去から決別し、幸せになってほしいとの願いを込めて「幸ちゃん」と名付けた。

高齢のため、足は少し弱ってきているが、散歩はいつまでも大好き。時々目を細めるしぐさは、まるで笑顔を浮かべているようにも見える。
近所でも人気者で、近くの子供たちが散歩を手伝ってくれている。

優しい夫婦の愛情で、再び生きる喜びを感じるようになった幸ちゃん。その目には幸せと希望があふれている。

(福井テレビ)

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