牛肉、ワイン、伝統工芸品など…政府に提出した「G7広島サミットで使ってほしい県産品リスト」の候補はなんと1345点!広島の生産者たちはサミットを千載一遇のチャンスと捉え、“良い返事”を待ち望んでいる。

おもてなし候補の県産品は1345点

2014年、オバマ元大統領が訪日した時の夕食会で酔いしれた日本酒「ゴールド賀茂鶴」。

この記事の画像(20枚)

2022年、日米首脳会談でバイデン大統領が舌鼓を打った神石牛など…

外交の舞台で度々、話題に上ってきた広島県の特産品に、今回のG7広島サミットでも期待が高まっている。

広島サミット県民会議 会長・湯崎英彦 知事:
県産品等を積極的に活用いただきたいということをお願いしました

サミットの支援組織である「広島サミット県民会議」は、サミットで県産品を売り出そうと“使ってほしい候補”をリストにまとめ、岸田総理と外務省に提出した。

岸田総理へ使ってほしい県産品のリストを手渡す湯崎知事
岸田総理へ使ってほしい県産品のリストを手渡す湯崎知事

その数、なんと1345点。農畜産物から加工品まで種類はさまざま。

候補の1つ、三次市に2021年に誕生した新生ワイナリーの運営者は…

ヴィノーブルヴィンヤード ワイナリー・横町崇さん:
海外の方にも評価を受けていきたい思いがあるので、今回のサミットになんとか使ってもらえたら

リストに並ぶのは、食べ物や飲み物だけではない。中には、廿日市市発祥のこんなものまで…

「けん玉」は廿日市市の木工技術が生み出した伝統的おもちゃ
「けん玉」は廿日市市の木工技術が生み出した伝統的おもちゃ

イワタ木工・岩田知真 社長:
「けん玉」を世界にPRしていきたいと思っています。各国首脳にも使っていただきたいですし、言葉の壁を超える瞬間があると思うので、そこを感じてもらいたいなと思っています

言葉の壁を超えた“けん玉外交”が実現するのか。広島の魅力をもっと知ってもらいたいと願う生産者たちは、サミットを千載一遇のチャンスと捉えている。

“被爆の歴史”を物語る化粧筆

2016年に開かれた伊勢志摩サミットで当時の安倍総理から各国の首脳に贈られた贈呈品には、安倍総理の地元でもある山口県の萩焼の花瓶、岩手県の秀衡塗酒杯、福島県の日本酒「会津ほまれ」、宮城県の玉虫塗小物入れ、さらに熊本県の肥後象がん万年筆など、東日本大震災と熊本地震における被災県の特産品が選ばれた。

今回のサミットの贈呈品には、広島が誇る「2つの筆」が注目されている。
1つ目は、熊野町の伝統工芸品「熊野筆」。熊野筆や化粧筆などの製造・販売を手がける晃祐堂では、今回のサミットに合わせて新作の化粧筆を開発した。

晃祐堂・土屋武美 社長:
被爆樹木を使用した化粧筆です。力強いメッセージを持つものができたと思います

筆軸の濃い茶色の部分に被爆樹木が使われているという。その被爆樹木とは、広島市西区の三篠神社の境内にある樹齢約120年のクスノキ。

広島市西区の三篠神社の境内にある被爆クスノキ
広島市西区の三篠神社の境内にある被爆クスノキ

その剪定枝を、工場で1本1本手作業で仕上げている。

「晃祐堂」の生産工場で1本1本仕上げられる化粧筆
「晃祐堂」の生産工場で1本1本仕上げられる化粧筆

艶やかな毛質のフェイスブラシ。肌ざわりの良さだけでなく、筆のデザインに被爆地ヒロシマのメッセージを込めた一品だ。G7首脳の配偶者向けのおもてなし品としても期待が高まる。

被爆樹木を使った熊野町産の化粧筆
被爆樹木を使った熊野町産の化粧筆

(Q:サミットで採用されるかどうかの連絡は?)
晃祐堂・土屋武美 社長:

連絡はまだありません。もちろん選ばれればすごく光栄なのですが、平和は笑顔から始まると思いますので、この化粧筆を使った方が笑顔になれば嬉しいなと思います。今回のサミットで広島をもっと知ってもらい、この地に足を運んでほしいです

万年筆に込めた“永久不変の平和”

熊野筆と同じく広島を代表する“筆”がもう1つある。それは「万年筆」。呉市に本店があるセーラー万年筆は、2008年の洞爺湖サミットで総理大臣からの贈呈品として各国首脳に手渡された実績がある。

セーラー万年筆・ブランド企画部 山口清猛さん:
サミット開催まで残りわずかとなりましたが、いい返事が来ることを待ち望んでいます。軽くやわらかなタッチと安定したインク供給で快適な書き味を実現しています

今回のサミット用に準備しているのが「彩雅万年筆」。石目塗という技法で石の表面のような凹凸感を出し、軸の色・千歳緑に“永久不変”の平和の意味を込めている。

県産品がサミットでどのように採用されるのか、広島サミット県民会議に話を聞いた。

広島サミット県民会議 事務局・石川尚央さん:
広島サミットで何を使用するかはすべて政府が決定することになっているため、私たちではわかりません。しかし、県産品の活用は首脳や配偶者への食事・贈呈品だけでなく、国際メディアセンターの国内外報道関係者への提供など非常に多くの活用の場面が考えられています

サミットを研究している名古屋外国語大学の高瀬淳一教授は…

名古屋外国語大学・高瀬淳一 教授:
サミットに採用されるものは食材が一番多く、あとはお酒を含む飲み物ですね。開催地の周辺自治体にいろんな迷惑もかかりますので、そういうところの有名なものを集めてたくさんの種類が並べられると思います

G7首脳や配偶者への贈呈品として期待が膨らむ“広島の筆”。化粧筆、万年筆ともに、こういう時代だからこそ平和のメッセージが込められている。それ以外にも、多くの県産品がサミットをきっかけに世界へ知れ渡ることを願っている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。