Mr.サンデーが入手した木村隆二(きむら りゅうじ)容疑者(24)の小学生時代の写真。日焼けした顔で、白い歯を見せて微笑む、無邪気な笑顔の少年はこの約12年後、日本を震撼させる暴挙に出た。

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選挙中の漁港で起きた首相襲撃事件 カメラが捉えた一部始終

4月15日午前11時半ごろ、岸田首相が応援演説に訪れた和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で爆発物を投げつけた、職業不詳・木村隆二容疑者(24)。威力業務妨害の現行犯で逮捕された。

襲撃事件が起こる約30分前の午前11時過ぎ、岸田首相の車列が到着。その約1分後、演説会場方向に向かう木村容疑者の姿が付近の防犯カメラに映し出されていた。眼鏡をかけ、確保されたときと同じくリュックを背負っているのがわかる。

演説会場方向に向かう姿。眼鏡をかけ、確保されたときと同じくリュックを背負っている

16日、新たに刃の長さ13センチほどのナイフも所持していたことが判明。手製とみられる爆発物の他にも、凶器を用意し襲撃に及んだ疑いが浮上している。

木村容疑者の不審な行動に気づき、いち早く木村容疑者のもとに駆け出した地元漁師の西出さんは、木村容疑者についてこう語った。

木村容疑者を取り押さえた地元漁師 西出さん:
(木村容疑者は)無表情で無抵抗やったけど、手に持っていた物だけをすぐには離さなかった。

一方、兵庫県川西市の木村容疑者の自宅では、16日午前1時ごろ、周辺住民に避難を促した上で、物々しい装備の捜査員らが家宅捜索を行った。

粉末のようなものや金属製とみられる管、工具類などを押収。警察によると、粉末が火薬かどうかについては今後捜査を進めるという。

「明るく優しい小学生」が中学では…木村容疑者の人物像

港町を混乱に陥れ、日本中に衝撃を走らせた木村容疑者。今回の事件を起こした狙いは、いったい何だったのか?Mr.サンデーは、木村容疑者を知る5人を取材。人物像の核心に迫った。

近所から得た複数の証言によれば、木村容疑者は両親、姉、兄と5人で暮らしていたという。小学生時代を知る人たちは…。

「ご飯食べにおいで」「こっち一緒にいっぱい作ったから」と、食事に誘うこともあったという
「ご飯食べにおいで」「こっち一緒にいっぱい作ったから」と、食事に誘うこともあったという

幼なじみの女性:
小学校はもうずっと一緒で、中学校、高校でも面識はずっとあったっていう感じです。よく一緒に遊んでいたので、とても優しいとは思っていました。いつもよく笑っていて、なかなか私自身が馴染めない時にも仲良くしていただいていたので(事件に)とてもびっくりしています。

木村容疑者を知る親子:
母:(小学生の頃)息子と遊んでる時は元気で明るい子でした。明るい元気で、とにかくすごくお世話になったし。
息子:家族ぐるみでね、普通に。
母:ご飯とか食べさせてくれたもんね。私がずっと仕事で、(息子が)一人だけだったんで。「ご飯食べにおいで」「こっち一緒にいっぱい作ったから」って言って。

ディレクター:
誰が呼んでくれたんですか?

木村容疑者を知る親子:
母:旦那さんです。
息子:いい家族だから。

また、近くで駄菓子店を営む男性によると。

ディレクター:
お父さんはどんな方なんですか?

近くで駄菓子店を営む男性:
まあ普通のお父さんじゃないですか?トラックの運転して、仕事をされていた。お店に来てね、駄菓子を買いに来ていましたし、お父さんともよく来ていました。

小学校の卒業アルバムの中で、白い歯をこぼし、屈託のない笑顔をみせる木村容疑者。またアルバムには、木村容疑者が卒業証書を受け取る写真が採用されていた。

一言メッセージを書くページでは、星形の枠に「サンキュー」と書いていた木村容疑者
一言メッセージを書くページでは、星形の枠に「サンキュー」と書いていた木村容疑者

卒業文集の一言メッセージを書くページでは、クラスメイトがみな、丸い枠に日本語で書いている一方、木村容疑者だけは星形に「サンキュー」。目立つ存在だったことが伺える。将来の夢は、「パティシエか発明家」とある。

【木村容疑者の小学校の卒業文集】                                       パティシエになったらいろんなお菓子を作りたいです。食べた人が秘密にしておきたくなるお菓子をいっぱい作りたいです。もう一つの夢の発明家になったら、みんなが喜ぶロボットや、歩く手つだいや電動の車イスなどお年寄りや一人暮らしの手伝いをする、料理をするロボットや洗たくをするロボットなど役にたつ機械を作りたいです。

人が喜び、ためになるものを作りたいと何度も綴っていた、明るく優しい木村少年。しかし、中学校時代を知る人たちからは、証言が一変する。

中学の同級生A:
比較的おとなしい感じですね。あんまり周りとガヤガヤしてるイメージもなく、一人でおとなしくいるような。

中学の同級生B:
キムとかそういうふうに呼んでた。机に向かって小さいものを作ったりするのが好きな子だった。文房具でちょこちょこいじるのが好きだった子。クラスの中でもおとなしめの子だったので。

机に向かい、小さなものを作るのが好きな子だったという
机に向かい、小さなものを作るのが好きな子だったという

中学生になるとおとなしい印象で、人と話すことがなくなっていったという木村容疑者。証言によれば、木村容疑者の中学校進学と前後して家族で現在の一軒家へ引っ越したという。

木村容疑者を知る親子:
母:引っ越しして、旦那さんをあんまり見なくなったって言われているらしいわ。仲良かったのにね、あそこの夫婦。

こうした家族の状況が、木村容疑者の変化に影響を与えた可能性はあるのか。だが、そこからなぜ政治の場での爆発事件へとつながったのか。

意外な“政治”との接点も 黙秘貫く容疑者…動機の謎

16日の取材で、木村容疑者がある会に参加していたことがわかった。それは、自民党系市議の「市政報告会」。

2022年9月、木村容疑者が住む兵庫県川西市で、当時の自民党系市議が市政報告会を実施。その参加者の名簿に木村容疑者の名前と住所が書かれていたという。

その元市議側に問い合わせたところ、「具体的にどんな話をしたかなどは覚えていない」というが、かすかに浮かび上がった政治との接点は、今回の事件とどのような関係があるのか?

現行犯で逮捕され、17日に送検された木村容疑者。これまで警察の調べに対し「弁護士が来たら話します」とし、黙秘を貫いている。次に口を開く時、秘めた動機は語られるのだろうか。

(「Mr.サンデー」4月16日放送)