テレビ新広島のてっちゃん・野川諭生アナウンサーがJR西日本の車両所で、90日に一度の定期検査を取材した。「日々、安全に運行するため」の点検だが、めったに見られない光景や運転台の内部に野川アナ大感動!
長〜い車両の屋根もしっかり点検
広島市南区にあるJR西日本下関総合車両所広島支所は、広島エリアを走る約300両の車両の検査や修繕を行っている。

台車や車輪、ブレーキなど床下の点検に始まり、ドアの開閉部品の交換や、主要機器がきちんと機能しているかを検査する90日に一度の機能保全。

点検はあらゆる角度から行われ、車両の屋根の上も…!
野川アナ:
わー、レッドウィングの屋根ですよ。この目線からはなかなか見ませんね

「レッドウィング」の愛称を持つこの車両は、広島都市圏の山陽本線を中心に走り、野川アナもよく利用している電車だ。点検用の通路から見ると、長い屋根が道のように続いている。

“電車の生命線”は朝露が苦手?
屋根の上で、電車に電気を取り入れるパンタグラフを念入りに検査する作業員の姿があった。
野川アナ:
今、どんな点検を行っているんですか?
作業員:
パンタグラフが正常に昇降するか検査しています。あとは屋根の上に物がのっていないか、碍子(がいし)にヒビがないかをメインに調査しています。パンタグラフの“すり板”は電気の架線に当たる部分で摩耗していくので、すり板の厚さもしっかり見ています

“電車の生命線”とも言えるパンタグラフだが、実は意外なものに弱いらしい。

JR西日本 下関総合車両所 広島支所・機械部門 西谷幸祐 係長:
朝露や霜が付いたときには、どうしてもパンタグラフと架線がきちんと接触しない状態で高い電流が流れるので、アークという現象が発生します。アークが発生すると高温の火花が散って、銅のすり板がひどく摩耗してしまいます。できれば起きてほしくない現象ですが、それはもう物理現象でどうしても発生してしまうので、約3カ月に1回の検査できっちりと確認しています

グラスコックピット内部を拝む
次は、電車をコントロールする運転席へ。ブレーキやマスコン(マスターコントローラー)など運転台の機器がきちんと機能しているか、作業員が一つ一つ点検していく。
JR西日本 下関総合車両所 広島支所・機械部門 西谷幸祐 係長:
電気が入っていない状態で制御器のふたを開けて、中の機械部品に異常がないかを確認しています

野川アナ:
ふたを開けると中はこうなっているんだなと、鉄道ファンとしても新鮮ですね
JR西日本 下関総合車両所 広島支所・機械部門 西谷幸祐 係長:
なかなか、中を見ることはないと思いますので
野川アナ:
レッドウィングの運転席はかっこよくて大好きです。グラスコックピットですよね?計器類がデジタル化されて液晶モニターに表示されるという…まさに日本の最先端の粋が詰まっています

グラスコックピットを熱く語り、精密機器や配線で埋め尽くされたその内部に目を輝かせる野川アナ。検査終了後、うれしいサプライズが待っていた。特別に許可を得て、運転台をさわらせてもらえることに!
野川アナは、神社で拝むようにパンパンっと手を打ち、深々と一礼。運転席へ足を踏み入れた。

「ガシャッ」ハンドルの操縦音に感動
野川アナ:
私、山陽本線でレッドウィングにたくさん乗っているんです。その車両の運転席というだけで、たまりませんね。このハンドルで電車を加速させます。車でいうとアクセルです

野川アナはハンドルをにぎり、ガシャッと勢いよく動かした。ふたが開いた状態の運転台は、ハンドルで回転する歯車まで見ることができる。
野川アナ:
聞こえましたか?この歯車がガシャってかみ合わさって動く音。最新の機器になっても、一つ一つガシャっとかみ合わさる感触がいいですね

次はブレーキハンドル。

野川アナ:
こっちはブレーキね。グググっとハンドルを引きます。いやー、ちょっと涙が出そうです。なんと言っても、いつもお世話になっている車両ですから

定期的な検査で異変を発見し、列車を事故なく安全に運行させる鉄道関係者たち。乗客の命を預かっているという緊張感を持って、日々、メンテナンスが行なわれている。今回の取材でわかったことがもう一つ。鉄道ファンの野川アナにとって、点検の現場は“聖域”だったようだ。
(テレビ新広島)