中国から大量に飛来している黄砂。
西日本や北海道、東北に続き、東京でも13日観測された。

黄砂は私たちの体にどのような影響を及ぼすのか。
聖路加国際大学大学院・公衆衛生学研究科の大西一成准教授に、肌や呼吸器系の症状、それらを防ぐための対策を聞いた。

大気汚染物質を含む黄砂

ーー今回の黄砂の特徴は?
黄砂は昔からある現象で、特に大きな違いはありませんが、今回の黄砂は大規模に日本列島に飛来してくると予測されている点と、砂の成分だけではなく大気汚染物質も含んでいることが特徴です。

聖路加国際大学大学院 公衆衛生学研究科・大西一成准教授
聖路加国際大学大学院 公衆衛生学研究科・大西一成准教授
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ーー過去に比べて濃度は?
大陸の方で濃度の濃いダストが発生しても、日本に到達するまでには落下して薄くなっていることがあります。

今回の黄砂が過去と比べて濃いかどうかについては、調べられていないので、言いにくいところがあります。

ただ中国大陸において降雨量が少ない場合は、雨で落とされず、日本にやってくる量が増えるということは十分あり得ます。

アレルギー症状や呼吸系疾患に要注意

ーー東京に到達するのは2年ぶりだが?
黄砂という現象はもともと西日本を中心に起きていて、関東に到達するまでには落下していたり、濃度が薄い場合は、関東までは来ないということがこれまでの流れでした。

黄砂によって見通しが悪くなり交通事故が起きたり、洗濯物が外に干せない、車にキズが付いてしまうなどといったトラブルが発生します。

黄砂で汚れた車
黄砂で汚れた車

また健康被害では、目や鼻、皮膚などのアレルギー症状や、呼吸器系への影響があることが分かっています。

日本の黄砂は、海外に比べると濃度は非常に低いのですが、濃度が高い時は翌日に心筋梗塞や脳梗塞による救急搬送が増えているという報告もあります。

窓を閉め、帰宅したらすぐシャワー

黄砂には人体に有害な成分が含まれることから、健康被害を防ぐためにも外出はなるべく控えることが重要だ。

また外から帰宅した際は、まず着替えてシャワーを浴び、肌や髪に付着した有害物質を洗い流すことが大事だと大西准教授は指摘する。

ーー人体への影響は?
肌や目の症状が強く現れることがわかっています。

黄砂には有害な重金属成分が含まれるため、肌に直接触れることで、かゆみや赤くなることが観察されています。

金属アレルギーがある人、あるいは、アトピー性皮膚炎がある場合は、皮膚症状が出る可能性があります。

黄砂が皮膚に接しないために、外出する時間を減らしたり、窓を開けない、洗濯物や布団を外に干さないなどといった対策が必要です。

(イメージ)
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ーー鼻、喉など呼吸器系の対策は?
黄砂が飛来中は窓を閉めることが大切です。
過去の研究報告で、窓を開けている時間が長いほどアレルギー症状を訴える人が多いとするものがあります。

大気汚染物質、花粉なども黄砂に付着して症状を悪化させるので、吸い込まないことが大切です。
そのためにはマスクの着用が効果的ですが、花粉や黄砂をブロックできないマスクや、顔とマスクに隙間がある場合は効果が限定的になります。

まずはなるべく外出しないようにして、外出した場合は、帰ったらすぐに着替えて、シャワーを浴びて洗い流すことが大事です。

外で着ていた服のままリビングルームに入ってしまうと、黄砂や大気汚染物質、花粉がソファーや絨毯に付着して、それを吸い込んだり、接触し続けることで、アレルギーになってしまうリスクが高まります。

保湿クリームも効果的

一方、肌荒れを防ぐためには、黄砂が直接肌に触れないよう“保湿クリーム”を塗ることが効果的だと大西准教授は指摘する。

ーー目や肌の対策は?
目はメガネで多少ブロックできる可能性はありますが、もし目に入った場合は目薬もさまざまな種類があるので、むやみに使うのではなく、専門医に相談することをお勧めします。

また肌の対策としては、黄砂や大気汚染物質が直接肌に付着するのを防ぐために、日焼け止めや保湿クリーム、メイクなどが役立ちます。

自分の肌に合ったクリームを使用して対策することをおすすめします。