宮内庁は、4月1日付けで「広報室」を新たに設置した。広報室の役割や設置の経緯、今年度の動きについて、フジテレビ皇室担当の橋本寿史解説委員に話を聞いた。
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初代室長に警察庁キャリア
――4月から新たに「広報室」が設置されました。以前にもお話を伺いましたが、情報を発信していこうという流れになっているということですよね。
4月1日に新設され動き始めたばかりなのですが、初代室長には警察庁の初代経済安全保障室長だった藤原麻衣子さんが就任しました。

――警察庁の経済安全保障室とは?
技術流出をどうやって止めるかということをやっていく所で、いわゆる産業スパイ事案などの捜査や情報収集のほか、企業や研究機関に技術流出の防止対策を支援する活動を行っています。マスコミだけでなく企業にもいろいろと情報発信をしている部署なんですね。
宮内庁も説明をしていますが、藤原さんは警察庁の幹部ポストをこれまでやってきて、事業者等の外部への情報発信を準備するなど豊富な行政経験を有しています。
――インターネットやサイバー攻撃といったことに詳しい?
藤原さんご本人がどこまで知識を持っているかはわかりませんが、技術流出対策や外部への情報発信に関するお仕事をしてきたことは確かで、宮内庁の幹部も「適任だろうと考えております」と説明しています。藤原さんは、宮内庁の広報室長にと最初に言われた時はびっくりしたそうです。

なぜ、宮内庁が情報発信をしなければいけないと考えているかというと、天皇陛下のお誕生日の会見で「国民との交流を重ね、国民と皇室の信頼関係を築く上では、皇室に関する情報を、適切なタイミングで国民の皆さんに分かりやすくお知らせしていくことも大事なことであると考えます」というおことばがあったように、そこが非常に重要な部分なんですね。情報発信して正しい情報が伝わることで、皇室と国民の信頼関係をこれまで以上に強くしていきたいという考えがあるのでしょう。
――皇室としても、やっぱり自分たちのことを分かってほしいし、正しい情報で繋がりたいというような思いがすごくあるというふうに感じます。
宮内庁としても、天皇陛下と皇族の方々がお務めを果たされる姿や、活動について国民の理解が深まることが重要ということで広報室の意味合いというのを捉えてますし、そのために「これまで以上に充実した形でタイムリーに情報発信できるように努めていく」と説明しています。タイムリーさが大切になってくるというのは私も思っているところですね。
今年度はホームページ拡充に向けた調査・分析
――情報発信の方法ですが、ホームページの他にも、例えばSNSが使われるのかどうかという点に関心があります。
SNSで皇族の方ご自身が何か発信するんじゃないかというようなことを思われるかもしれませんが、今の段階ではそこまでは行きません。宮内庁に4月1日から準備をどう進めていくのかということを聞いても、具体的にSNSについては何も決まってないそうなんですね。
宮内庁は、2023年度予算に「調査分析費」として350万円余りを計上していますが、これはホームページを新しくするための調査と分析をするための費用としています。つまり、今年はホームページの改修に向けた準備で、2024年度以降に改修の費用を計上することになるわけです。そこにはSNSに関する費用は含まれていません。

――やっぱり忘れてはいけないのは、陛下がおっしゃるような国民との信頼関係が達成されることですね。
そうですね。そしてもう一つ大切なのは、民間の活力を上手く使うことです。今回、広報室に民間企業の人材を登用していて、宮内庁はこの時代に合わせることをいろいろと考えています。前例主義だけでなく今の時代に何が大切かということを考え、宮内庁が進歩していくことが、皇室の皆様に対してのイメージといいますか、やはり時代に合った皇室の形なんだなということが我々にもわかりやすいわけです。そこが大切だと私は思っていますね。
(FNNプライムオンラインYouTube「皇室親話」より)