使い方次第でメリットも、デメリットもある「チャットGPT(ChatGPT)」。賢い利用法について、情報処理などが専門の近畿大学・半田久志先生にお話を聞いた。あらためて、この「チャットGPT」はどの程度スゴイものなのか。

チャットGPT「便利な使い方」は

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近畿大学情報学部 半田久志教授:
そうですね。5年ぐらい前から、言葉を使うAIが登場してきました。それまでは自然な文章というものは扱えませんでした。大規模なデータから学習して、自然な文章が作れるようになりました

近畿大学情報学部 半田久志教授:
日本で一番速いスーパーコンピューター「京」がありますけれど、それが1カ月かけても学習できないほどの大規模な量を学習しています

私たちはどうやって使っていけばいいのか。抽象的な質問をしてしまうと、間違った答えが返ってくる可能性がある。求める答えを導き出すために、具体的な条件を入力するのがポイントだ。「こう質問したらいいよ」という事例集はネット上にあります。例えば…

・オススメの映画を知りたい場合 自分の好きな映画、年代・上映時間を入力
・喜ばれるプレゼントの場合 予算、相手の年齢を入力
・今週の献立の場合 具材、栄養素を入力

といった条件入力をするといいとのことだ。

実際に“今晩の献立”をチャットGPTに質問してみる。

冷蔵庫の中に入っている食材を思い浮かべて、条件として入力。「#使いたい食材 卵、玉ねぎ、いかなごのくぎ煮、みそ」。あと「#今日の気分 さっぱりしたものが食べたい」。さらに「あなたはプロの管理栄養士で料理人です」とチャットGPTに役割を与えた。

そうすると「【今日の晩ご飯の候補】1.玉ねぎといかなごの卵炒め、2.みそ汁と卵焼き、3.玉ねぎといかなごのみそ炒め…」。このようにたくさんの献立候補が表示された。さらに検索すればレシピも教えてくれる。

細かい条件を入れて質問すると、しっかり教えてくれた。しかし間違うことも…?

近畿大学情報学部 半田久志教授:
大規模な文章を学習するのですけれど、“確率”という形で知識を蓄えます。ある単語を出すと、次に出す単語はどういうものかということを、確率に基づいて、一番もっともらしい答えを出します。“役割”という話がありましたが、役割が文脈を与えていまして、この文脈の中で単語を確率的に選ぶときに、ちょっと間違えてしまうことがあり、その後に間違いをずっと引きずってしまうので、結果としてうそを言ってることになります。AIがうそをつこうとして、ついているわけではないのですが

チャットGPTの進化は止まりません。これまでチャットGPTは2021年までのデータしか蓄積されておらず、最新情報に対応できなかった。それが約1カ月ほど前にマイクロソフトの検索エンジン「Bing」に搭載され、最新情報にも対応可能になった。

例えば「現在の総理大臣は?」と質問すると…

・以前のバージョンでは、「2021年9月時点での情報しか持ち合わせていません」ということで、当時の「菅首相」の名前を出していました。
・最新バージョンでは「岸田文雄です」と回答してくれます。

検索エンジンと結びついているため最新の情報が出てきて、間違った答えが減り、進化しているそうだ。

チャットGPTに対して、「子供の文章力・思考力」に関する懸念の声があります。こういった懸念に対して、

・東京大学では、AIのみを用いたレポートの作成を認めない
・文部科学省は、学校向けのガイドラインを作成する方針

関西テレビ・加藤さゆり報道デスク:
今の子供は生まれた時から“デジタルネイティブ”といわれるように、ツールがある環境の中で育っていくので、学校の先生に使い方を教えてもらいたいと思います。また教える側の先生たちには、こういったものとうまく付き合う方法を、アップデートしていってもらいたいとも思います

教育現場の皆さんがどう考えていくべきなのかについて、半田先生はどのように考えるのか。

近畿大学情報学部 半田久志教授:
「ヒトとチャットGPTが分業化」することが必要だと思います。レポートの例ですと、知識を調べさせるレポートではなく、学生には考えさせることが必要です。考えた上で文章の作成は、チャットGPTに任せる。そうすることで正しい文章を出してくれるようになると思います。あくまで考えるのは人間の役割だと思います

チャットGPTがさらに便利になる可能性、進化についてはどういったことが考えられるのか?

近畿大学情報学部 半田久志教授:
「分業化」と言いましたが、今使われているWordなどのソフトウェアにも使われることになると思います。人間は考えることに集中して、文章はチャットGPTが作ってくれるということで、生産性が上がると思います

(関西テレビ「newsランナー」2023年4月11日放送)

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