皇居の東側に位置する東御苑。4月1日、開園以来の入園者が3500万人に達し、3500万人目となった千葉県の夫婦には、両陛下の活動を紹介するDVDなど記念品が贈呈されました。

昭和43年から一般公開
皇居東御苑は、旧江戸城の本丸や二の丸などがあった場所に整備された皇居附属の庭園です。春は桜、夏はヒマワリ、秋はモミジなど四季折々の自然が来園者を楽しませています。

一般公開が始まったのは昭和43(1968)年10月。皇居の庭園を一目見ようと、初日には9000人が訪れました。

その翌年には、通常、赤坂御苑で行われている園遊会が一般公開にちなみ一度だけ東御苑で催されました。

昭和天皇が東御苑の雑木林づくりを提案
コナラ・クヌギなどの落葉樹が生い茂る二の丸雑木林は、野鳥や昆虫など様々な動植物が生息する緑の楽園です。

この雑木林の造成を提案したのは植物学者でもあった昭和天皇でした。東京近郊で失われつつあった里山の風景を残したいという思いがあったといいます。
上皇さまも庭づくりにアイデア
上皇ご夫妻にとっても、東御苑は思い出のある場所です。
皇居にお住まいのときには、日曜日になると上皇さまが自らハンドルを握られ御所から東御苑へ。開園前の早朝、散策を楽しまれました。散策の際には天守台に上り、高台から見える周囲の風景やランナーの姿などをご覧になっていたといいます。

上皇さまは、東御苑の庭づくりにも様々な提案をされてきました。
平成19(2007)年には、江戸城の跡地なのだから、江戸時代の古い品種のナシやリンゴ、柑橘類などを植えてみることを提案し、その後一部を自ら植樹されました。

日本名に加えて学名が記された樹木の名札。これも上皇さまが、外国からの来園者にも分かりやすいようにと発案されたそうです。

そしてバラ園を作ることも提案し、平成21(2009)年には新種のバラを植えられました。

園内の二の丸池には「ヒレナガニシキゴイ」が放流されています。このコイは上皇さまの発案で、日本とインドネシアの品種をかけ合わせ誕生したものです。

平成27(2015)年、上皇后さまと陛下、秋篠宮ご夫妻が揃ってインドネシアのジョコ大統領夫妻をご案内。東御苑は外国からの賓客をおもてなしする場にもなりました。

皇室行事に使用された東御苑
上皇ご夫妻の傘寿を記念した、皇宮警察によるランチタイムコンサートが行われたこともあります。居合わせた一般の入園者とともに、ご夫妻は午後のひとときを楽しまれました。

令和元年、天皇のお代替わりで行われた一世一代の「大嘗祭(だいじょうさい)」。
皇室伝統の儀式が東御苑で行われ、使われた建物は終了後、一般公開されました。


今年、開園55周年を迎える東御苑。都会の真ん中で、自然と歴史を楽しめる場所として外国人旅行者にも人気を集め、多くの人が訪れています。
(「皇室ご一家」4月9日放送)