マスク着用の緩和後、様々な企業で入社式が行われた。

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先輩社員から拍手で出迎えられ、緊張した面持ちでレッドカーペットを歩いているのは、大手総合商社・伊藤忠商事の新入社員たち。

2023年4月3日、同社では新入社員135人が出席する入社式が行われた。

伊藤忠商事・新入社員:
伊藤忠商事の一人の商人として、買い手のために、売り手のために、そして何より世間のために、何ができるのか、使命を持って仕事にまい進してまいります。

各企業の対応は様々

2023年3月13日から「マスク着用は個人の判断が基本」となってから最初の入社式。各企業の対応は様々だった。

伊藤忠商事では4年ぶりにマスクの着用が任意となり、ほとんどの新入社員がマスクをはずし、真剣な表情で式典に臨んだ。

伊藤忠商事・新入社員:
マスクがなかった方がより感情がわかりやすいと共に、先輩方の顔もたくさん見ることができて、実際にこういう人たちと働くことができるんだなという気持ちになりました。

同じく、任意のマスク着用で行われたJALグループの入社式では、新入社員約2000人が参加した。グループ全体の社員が一堂に会する入社式は、4年ぶりだ。

式典では、新入社員が決意を記した紙飛行機を飛ばした。

日本航空・新入社員:
改めて空の旅の素晴らしさというものを感じていただけるような、明るくて、親しみのある客室乗務員を目指したいと思っております。

一方、東京海上日動火災保険では、入場時と記念撮影以外はマスクを着用しての入社式となった。

東京海上日動火災保険​ 採用担当・大神田浩由課長代理:
5類引き下げ前ではありますので、感染には多少配慮をしながら、全員が集まって会場にいる状態で、会を進行したいと思っている。

また、約1450人の新入社員がマスクと作業着を着用して行われたのは、トヨタ自動車の入社式だ。式では、この入社式が初仕事だという新社長が、新入社員を激励した。

トヨタ自動車・佐藤恒治社長:
ぜひトヨタで夢を語り合える仲間をたくさん作ってください。そして、どんどん挑戦してください。改めて、車屋の会社へようこそ。これから一緒に車の未来を変えていこう。

トヨタ自動車の佐藤社長と撮影する新入社員たち
トヨタ自動車の佐藤社長と撮影する新入社員たち

オンラインから対面へと、徐々に元の姿に戻りつつある入社式で、それぞれが社会人の第一歩を踏み出した。

一律のルールは非現実的

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
マスク緩和後の入社式、各企業の対応はそれぞれのようですが、いかがですか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
入社式ではないが、私自身も今日、大学院の入学式だった。式典のコンテンツはオンラインでもそのままできるものではあるが…。

普段着ないスーツを着たり、会場の写真を撮ったり、会場まで電車で向かうときの景色も新鮮に感じるし、対面、オフラインでやる意味を感じた。 

一方マスクに関しては任意だったが、ほとんどの人が付けていた。これは入社式、さらには職場もそうだというケースが多いのではないか。

念の為マスクをしていたいという人もいれば、もうマスクはしたくないという人もいるはず。

それを一律のルールや方針で縛ることは現実的に難しく、結果的に、会社は推奨程度に止める、個人に任せるなどの方針にせざるを得ない。

職場選択条件に「リスク許容度」

堤 礼実 キャスター:
確かに、職場でのマスクに関して、頭を悩ませている企業も多いかもしれませんね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
これは働き方のルールや方針を決める際に、個人ごとの「リスク許容度」を考慮して、制度設計しなければいけなくなったということ。

知人で婚活ビジネスをやっている人によると、パートナーに求める条件に「コロナに対する倫理観、リスク許容度が同程度」というのが、上位に入ってきたという。

 そのように会社や職場を選ぶ際にも、「リスク許容度が同程度の職場の方が居心地が良い」などと感じる人も増えてきて、職場選択の条件に入ってくるかもしれない。

堤 礼実 キャスター:
リスクの許容度は人それぞれだけに、どうすればいいのか正解を導き出すのはなかなか難しいようにも思いますが、これについてはいかがですか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今、リモートワークから出社、もしくはハイブリッドに移行している会社が増えているが、個人ごとのリスクの許容度に配慮する意味でも、リモートワークを希望する人にそれを認めるなど、働き方を選べるようにすることは重要。

実際に、弊社に転職してきた人の中にも、前職でコロナに対するリスク許容度がどうも合わず、リモートワークで働きたいという人も出てきている。

会社として不安なく働けるような仕組みや働き方を、どう取り入れられるかということが問われている。

堤 礼実 キャスター:
行動制限の緩和により、個人の判断が求められる場面が増えたように感じます。

この春から新しい生活が始まったという方にとっても、仕事や勉強を通してその力を存分に発揮できる環境を自分で考え、そして、みんなで作っていくことが求められているのかもしれません。

(「Live News α」4月3日放送分より)