中国・四川省のパンダ保護研究センターで、プールにつかったパンダの水浴びが注目を集めている。

手足を激しくバタつかせた後、両手を上に上げ、口を大きく開けながらのけ反るポーズを繰り返すパンダ。

この記事の画像(5枚)

これはいったい何をしているのか。30年近くパンダの研究をしている、日本大学・渡部敏名誉教授にパンダの習性と日本とは異なる中国の飼育環境について聞いた。

パンダはプールがあれば必ず入る

ーーパンダの水浴びはよくある?
パンダは水浴びが大好きです。

このパンダは映像で見る感じだと2歳になったくらいだと思いますが、子供は特に水浴びが好きで暴れまくります。

4歳以上になると水の中でじっとして暴れることはないのですが、2~3歳は一番暴れる時期です。

ーーなぜそんなに水浴びが好き?
パンダは暑さに弱く、限界温度といいますが、25度以上になると脈拍数が上がります。体毛が厚くて長いため、体が熱くなってしまいます。

一方、寒さには強く、雪も大好きなくらいです。だから冷たい水浴びを好みます。

これまでの経験上、水浴びが嫌いなパンダは見たことがありません。

プールがあればパンダは必ず入ります。

初めて見る貴重な姿

この水浴びをするパンダの姿を、現地の報道では“ヨガ”に例え伝えている。

ーー中国の新聞では「ヨガ」との紹介もあるが、実際は?
人間は体調がよくなるなどの理由でヨガをやりますが、動物は(ストレッチなど動物にとって)嫌なことは絶対に自らやりませんから、ヨガではないです。

背中をまっすぐ伸ばして、口を大きく開けて「あ~」とあくびして、心の底から気持ちがいいとリラックスしているところです。

ここまで喜ぶ姿はなかなか見られないので、珍しいと思います。素晴らしい映像です。

ーー中国の飼育環境と日本は違う?
私は大学に勤めていた頃、15年間に渡り、夏休みの2か月間は成都のパンダ研究所に行って絶滅寸前のパンダをどう救うかといった実験などをしてきました。

しかし、このようなパンダの姿は初めて見ました。

上野動物園にも和歌山のアドベンチャーワールドにもこういう形状のプールはないので、親が水に入ってもちょっと座る程度で遊ぶことはないです。

日本ではパンダの子供は皮膚病を心配して、あまりプールに入れません。
中国からの借り物なので、大事な子供が皮膚病にかかったら大変ですから、親と一緒に少し水に入ることはあってもある程度したら上げちゃいます。そこは中国と違うところです。

成都の研究所にはプールが3か所あり、そこではパンダは放し飼いです。

朝9時に運動場に出すと、大きな木があって、その木に登って昼寝をするのですが、そこに今回の映像のようなプールがあるのかなと思います。