春は「頭痛」に悩まされる人が増える季節といわれる。新しい年度が始まり、就職や進学、人事異動などに伴って生活環境が変化することもその一因とされる。このうち頭の片側、または両側で脈打つような痛みが起きる「片頭痛」の患者は、国内で推定約840万人で、その多くは適切な治療を受けていないという。日常生活にも影響が及ぶ「片頭痛」にどう対処すればよいか、専門医に聞いた。

片頭痛「ストレスが強く関係」

島根・松江市の「たなか脳神経内科」で頭痛患者の治療にあたっている田中康貴院長に「片頭痛」の症状について聞いた。

田中院長は「片頭痛」にはストレスが強く関係していると語る
田中院長は「片頭痛」にはストレスが強く関係していると語る
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たなか脳神経内科・田中康貴院長:
「片頭痛」は頭痛の発作を月に何回も繰り返す。これが年単位で続き、慢性化する頭痛の代表といえます。ストレスが強く関係していて、(生活環境に変化が起きやすい)3月、4月は多くなる傾向がある

嘔吐する場合も…
嘔吐する場合も…

脈打つような痛みが頭の片側、または両側で起きる「片頭痛」。ひどい場合には痛みのため寝込んだり、おう吐したりする場合もあるという。

患者の7割が“受診歴なし”

「片頭痛」の患者は国内に推定約840万人で、20代から40代に多く、春のように生活環境が変わりストレスがかかる時期には、症状が出やすくなると言われる。

多くの患者が医療機関受診せず…
多くの患者が医療機関受診せず…

しかし、その一方で、ある調査では「片頭痛」患者の7割が医療機関を受診したことがないと回答するなど、多くの患者が適切な治療を受けていないのが実情だ。

たなか脳神経内科・田中康貴院長:
「片頭痛」の治療は、頭が痛くなった時の痛み止めと、頭痛の頻度を減らす予防治療がある

「片頭痛」には完治する治療法がなく、飲み薬で痛みを和らげたり、発症頻度を抑えたりするのが一般的だ。これで症状が改善しない場合には予防薬を注射し、症状を抑える治療法もある。

「環境作りで受診しやすく」

「片頭痛」を和らげるには医療機関の受診が第一だが、すぐに受診できないという場合の対処法を田中院長に聞いた。

安部大地記者:
症状が出た時は部屋を暗くして、まず横になることが有効とされています。

部屋を暗くし横になることで症状を和らげる
部屋を暗くし横になることで症状を和らげる

田中院長によると、光や音の刺激が症状の悪化につながることがある人も多いので、部屋を暗くしてそうした刺激を断ち、横になって寝てしまうことで、薬などがなくても症状を和らげることができるという。また、冷却シートなどで頭を冷やすことも有効だということだ。

たなか脳神経内科・田中康貴院長
たなか脳神経内科・田中康貴院長

田中院長は病院で受診することが前提だとしたうえで、「頭痛ぐらいで病院に行くのは大げさかなと思う人も多いと思う。職場や家庭で休みやすい環境を作ることで、患者も過ごしやすくなるし受診もしやすくなると思う」とアドバイスする。

日常生活にも影響を及ぼす「片頭痛」。生活環境が変わる節目の時期を迎え、適切な治療のために大切なのは周囲の理解といえそうだ。

(TSKさんいん中央テレビ)

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TSKさんいん中央テレビ
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